徘徊中の高齢者の賠償責任がよりあいまいになった

認知症の高齢者の列車事故における
賠償責任が否定された
という最高裁判決が出ましたね。
ヤフーニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160301-00000548-san-soci

民法714条に
「責任無能力者」(法律上責任を問えない人)の
「監督義務者」(責任無能力者の監督をしなければならない人)に
その責任を追わせるという規定があります。

判例では

精神障害者の妻(配偶者)であるからといって
監督義務者に当たらない。

また、

法定の監督義務者に当たらなくても
身分関係や日常生活における接触状況に照らし
「その監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情」
(最判昭58.2.24)

がある場合に監督義務があるとしています。

今回の判決も
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/714/085714_hanrei.pdf
(最判平28.3.1)
精神障害者との親族関係の有無・濃淡、同居の有無
その他の日常的な接触の程度、
精神障害者の財産管理への関与の状況など
その者と精神障害者との関わりの実情、
精神障害者の心身の状況や
日常生活における問題行動の有無・内容、
これらに対応して行われている監護や介護の実態など
諸般の事情を総合考慮し‥

賠償責任を受ける監督義務者の範囲が
はっきりしたのでしょうか。。

この判例に従えば、
場合によっては家族が
同居の有無や関わり具合によって
監督義務者として
損害賠償責任を負うこともあります。

今回の判決は、やたらと家族を監督義務者に
することがなくなったことは、良かったとおもいますが、
基準があいまいなので、
賠償責任を負うべき家族の範囲がよくわからないのは
ちょっと怖いですね。