預り金規程

当事務所は,司法書士等による預り金管理に対する社会的関心および信頼確保の重要性を踏まえ,依頼者からお預かりする預り金について,その適正かつ厳格な管理を確保することを目的として,本規程を定めます。


預り金規程

第1条(目的)

本規程は,当職が業務上預かる金銭(以下「預り金」という。)の適正な管理及び運用に関し必要な事項を定めることを目的とする。

第2条(定義)

本規程における「預り金」とは,依頼者等から業務の遂行にあたり一時的に預かった金銭をいう。

第3条(預り金の管理)

  1. 預り金は,当職の固有財産と明確に区分し,適切に管理しなければならない。
  2. 預り金は,預かり金額や依頼の態様に応じて,次に掲げる方法を用いて管理する。ただし,預り金専用口座には,全額が預金保護制度(ペイオフ)対象の決済用預金口座を利用するものとする。
     (1)耐火金庫
     (2)事業用口座
     (3)預り金専用口座(以下「預り金口座」という。)
  3. 現金で預り金を受領した場合は,以下のとおり管理する。
     (1)現金は,原則として少額に限り,耐火金庫により厳重に保管する。
     (2)受領額が50万円以下であって,かつ1週間以内に出金または精算が見込まれる場合に限り,耐火金庫での保管を行うことができる。
     (3)上記以外の場合(例:50万円を超える現金の受領等)には,速やかに事業用口座に入金し,他の資金と分別して管理する。
  4. 現金による預り金については,依頼者または成年後見人ごとに明確に区分して個別に管理する。
  5. 100万円以上の預り金を1か月を超えて保有する場合には,必ず預り金口座を利用して保管・管理するものとする。
  6. 遺産整理業務または財産管理業務に関する預り金については,預り金口座を用いて管理する。

第4条(預り金履歴の開示)

  1. 預り金の状況については帳簿に正確に記録し,依頼者等からの問い合わせがあった際には,その内容を開示しなければならない。
  2. 事件終了後1年を過ぎた預り金履歴の開示は,記録を7年以内のみ開示するものとし,手数料として1件3,300円(税込)及びコピー実費を請求する。
  3. 依頼者に相続,解散等があった場合はその一般承継人または承継法人に開示及び返還の権利を有するものとする。ただし,一般承継人または承継法人がその権利を証するため,相続関係説明図,戸籍謄本,遺産分割協議書その他承継を証する書類の提示を求めることができる。

第5条(預り金の入出金と返還)

  1. 預り金は,業務中においては,その業務の性質に従って依頼者に確認し,または依頼者の委任の範囲で適正に入出金を行う。
  2. 預り金は,業務の完了または中止に伴い速やかに依頼者またはその権利を有する者に返還しなければならない。
  3. 現金の返還に際しては,必要に応じて返還記録を作成し,依頼者の同意を得るものとする。
  4. 預り金の精算記録の確認は,精算書または業務の領収書の引き渡しによって行う。
  5. 依頼者等から預り金の返還に際して依頼者等名義の振込先口座の指定がある場合には,振込手数料を差し引いて振込により返還することができる。

第6条(帳簿の整備)

  1. 預り金に関する入出金履歴は,法令及び当職が定める基準に従い正確かつ明瞭に記録し,帳簿を整備しなければならない。
  2. 帳簿及び関連書類は7年間保存するものとする。

第7条(分別管理の義務)

  1. 預り金は,当職の固有資産と明確に分別して管理しなければならない。財産管理,遺産整理業務における預り金もこれに準ずる。
  2. 後見人の金銭を預貯金や有価証券で管理する場合は,被後見人の預貯金口座または被後見人と後見人の名義が併記された口座等で管理しなければならない。
  3. 遺産整理業務,財産管理業務において預り金の依頼者別管理が困難なほど重複している場合には,新たに預り金口座を開設して管理しなければならない。

第8条(業務不能時の対応体制)

  1. 司法書士が心身上の理由により業務を行えなくなる事由が発生した場合に備え,補助者及び相続人が依頼者の預り金の円滑な払い戻し及び精算を行えるよう,必要な体制を整備しなければならない。
  2. 前項の事由が発生した場合,依頼者および一般承継人は,依頼者であることを証明するため,運転免許証等の身分証明書を提示して権利を行使するものとする。

第9条(規程の改定)

本規程の改定は,当職の責任において行い,必要に応じて依頼者に通知するものとする。

令和7年5月16日作成