ブログ(業務日誌)

所有権登記に必要な「ふりがな」情報,住民票に記載がない自治体も…住民票にふりがながない場合

本年4月21日から,所有権に関する不動産登記の申請には,新たに「生年月日」「氏名のふりがな」「メールアドレス」の情報が検索用情報として必要となります。
(参考:新不動産登記規則第27条の2,第158条の39)


ふりがなの扱いに市町村で違いが…

ところが,長野市の住民票の写しには「ふりがな」が未記載であるのに対し,隣接する千曲市の住民票の写しにはふりがなが記載されています。

この「ふりがな」は、法務局への登記申請時に求められる情報の一つですが,申請の際には、公的な証明書に基づいて提出することが原則とされています。
(新不動産登記規則第158条の39第2項)


ふりがなが記載されていない場合は?

では,住民票にふりがながない場合はどうすればいいのか——。
これについては、法務省の通達(令和7年3月3日民二第373号)で,次のように示されています。

「氏名の振り仮名の記載がない場合でも、出生の年月日等を証する情報として取り扱って差し支えない。」

つまり,ふりがなの記載がない住民票でも,登記に使用することが可能とされています。


今後は戸籍から自動的に反映予定

総務省によると,令和年5月26日以降,戸籍にふりがなが記載される制度が開始されそれに伴い,戸籍に登録されたふりがなが順次住民票にも自動的に反映されていくとのことです。
(参考 総務省「住民票等への氏名の振り仮名の記載について」)

この対応が進めば将来的には全国で統一的に「ふりがな記載のある住民票」が取得可能になる見込みです。


運用に注意が必要です

今回の制度変更は急なものであり,現場でも混乱が見られます。
また,将来的には運用や通達の内容が変更される可能性もあります。

そのため,登記申請を予定している方や実務に携わる方は,最新の通達・運用の確認を怠らないようご注意ください。

Fedora41→42 のリリースとアップグレード

昨日,Fedora42が正式リリースされたようでしたので(参考 fedora MAGAGINE 「What’s New in Fedora Workstation 42」),メインサーバー等をFedora41から42にアップデートしました。
方法は以下のとおりです。

1.いつも通り,現状バージョンの最終アップデート

dnf upgrade --refresh
reboot -n

2.DNFアップグレードパッケージのインストール

dnf install dnf-plugin-system-upgrade

3.Fedoraの新バージョンのダウンロード

dnf system-upgrade download --releasever=42

4.GPG キーを検証します。(識別子が下記サイトと同じかを確認します)OKなら[y]を入力してenterを押します。

場所: Fedora はあなたの安全を守ります

OpenPGP キー ● をインポート中:
UserID: "Fedora (42) <fedora-42-primary@fedoraproject.org>"
識別子: ●
提供元: file:///etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-fedora-42-x86_64

Is this ok [y/N]: y

5.ダウンロード後,リブートして更新

dnf system-upgrade reboot

6.各パッケージの正常性を確認します

更新後,1点問題点がありました。postfixが起動していませんでした。よって以下の設定をしています。

#古いパッケージを消す
dnf install remove-retired-packages
remove-retired-packages 41

#コンフィグファイルの更新
dnf install rpmconf
rpmconf -a
#何回かenterを求められる

「/etc/postfix/mail.cf」などが更新されて,加工前のものが「main.cf.proto」に入れられます。

そして,postfixのサービスが停止しているため,改めてスタートさせます。

systemctl start postfix

メールの送信を確認します。

#メールの送信
mail root

以下のエラーが出るため,mtaを変更

s-nail: Cannot start /usr/sbin/sendmail: executable not found (adjust *mta* variable)
alternatives --config mta

再度 mail rootを実行時メール

#メールの送信
mail root

#メールの受信
#→メールクライアントを使用

※追記 postfixの起動だけではメールの送信ができませんでしたので,alternativesを追加しました。

上場株式の評価と“通達6項”の影響

不動産や非上場株式など,評価の難しい遺産には,一定の評価基準が定められています。


🔹評価の基本ルール


🔹通達6項とは?

国税には「財産評価基本通達 総則6項」という特例があり,
通常の評価が困難な場合,国税庁長官の指示で別の評価が可能とされています。


🔹実際の適用事例


🔹今後の見通し

このような判例の続出により,通達の見直しが検討されている可能性もあるとのこと。
評価方法によって相続税額が大きく変わるため,慎重な対応が必要になりそうです。


気になる方は,税理士等の専門家への早めの相談をおすすめします。

不動産取引や工事契約での印紙税の取扱

以下の記事に印紙税に関する実務上のまとめがありましたので,参考までにご紹介します。
(THE GOLD ONLINE「不動産取引で収入印紙が必要になる文書」)


● 印紙税が必要になる主な文書

以下のような文書については,印紙税法により収入印紙の貼付が必要になる場合があります。

1.不動産売買契約書,金銭消費貸借契約書,領収書等

(印紙税法第2条,別表第1-6項 第1号文書、第17号文書)

不動産売買にかかる契約書,金銭消費貸借契約書(例:住宅ローン契約書),および領収書には,収入印紙が必要なケースが多く見られます。

2.工事契約書,注文書,注文請書

(同法 別表第1-6項 第2号文書)

建設工事等に関する契約書や注文に伴う書類も,印紙税の対象となります。

3.不動産管理委託契約に関する契約書等

(同法 別表第1-6項 第2号文書)

不動産の管理委託に関する契約書も,「請負に関する契約書」として印紙税の対象になる場合があります。


●領収書の取扱について

不動産取引における領収書については,発行者が誰であるかにより、収入印紙が必要かどうかが異なります。

  • 個人が私的に発行する場合:
     → 通常、収入印紙の貼付は不要(営業に関しない受取書)
  • 法人や不動産賃貸業を行っている個人が発行する場合:
     → 収入印紙の貼付が必要になる場合が多いです

(出典:国税庁「営業に関しない受取書」)


● 印紙税の軽減措置がある文書

以下の契約書については,印紙税の軽減措置が講じられています。

  • 工事請負契約書
  • 不動産売買契約書

(出典:租税特別措置法 第91条)


●電子契約にすることで印紙税が不要に

契約書や受領書を電子化することにより,印紙税の課税対象外となります。

  • メール添付のPDF契約書
  • クラウドサインなどの電子契約サービスを使用した場合

これらは「紙の文書」に該当しないため,印紙税は課税されません

(出典:国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱」)


⚠ 現状の課題:電子契約に対応していない事業者が多い

理論上は電子契約で印紙税を回避できますが,現時点では電子契約を導入している会社や業者はまだ少数です。相手方の合意やシステム導入も必要になるため,導入には一定の準備が必要です。


● まとめ

  • 不動産売買や工事契約などでは,収入印紙が必要な文書が多く存在する。
  • 契約書の電子化によって印紙税を回避することが可能
  • ただし,実務上はまだ電子契約に対応していない事業者も多い。

また,企業が対外的に出す文書には,印紙税のかかるものも多々あります。
特に法務部門では,対応のために印紙税に関する参考書を1部以上常備し,必要な場面で迅速に確認・対応できる体制を整えることをおすすめします。

文書作成時には印紙税の要否を事前に確認し,可能であれば電子契約化によるコスト削減も検討してみてください。

JUST PDFで電子署名? Acrobatなしでも申請用総合ソフトに対応

AcrobatがなくてもOK。 JUST PDF6で電子署名付き本人確認情報を作成し,申請可能でした。

通常,申請用総合ソフトで本人確認情報等を電子署名する際には Adobe Acrobat を使用しますが,JUST PDF6 でも作成・申請ができたのでご報告します。


✅ 事前準備:職印・印影の登録方法

1️⃣ 職印や印鑑の印影をスキャン (JPEG推奨,ペイントソフトでトリミング)
2️⃣ JUST PDF高度編集[ファイル]→[オプション]を開く


3️⃣ [電子署名]→[署名の表示設定]→[グラフィックあり]を選択
4️⃣ [画像ファイルから選択]→[参照]をクリックし,スキャンデータを指定


5️⃣ [OK]をクリックして完了


✅ JUST PDF6での電子署名手順

1️⃣ Wordや一太郎で本人確認情報を作成し,PDF化
2️⃣ JUST PDF高度編集でPDFを開き,運転免許証などを後ろのページに挿入


3️⃣ [セキュリティ]→[電子署名]→[証明用の署名(変更制限)を付与]を選択


4️⃣ マウスカーソルで署名位置を指定


5️⃣ [デジタルIDの追加]→[既存のデジタルIDファイルを指定]を選択し進める


6️⃣ 電子証明書(.p12)を選択し,パスワードを入力


7️⃣ [登録済みのデジタルID]が自身の氏名となったら[次へ]をクリック,再度パスワードを求められるので入力して,署名理由を[この文書の作者です。]とし,PDFに署名


8️⃣ 本人確認情報のPDFを再度ファイルとして記録するウインドウに推移するので,ファイルを保存して完了


✅ 署名の確認方法

🔹 JUST PDF高度編集で「有効性の不明な署名があります。」と表示されてもOK


🔹 Acrobat Readerで再度開き,時間が経つと [署名パネル] が表示される


🔹 署名欄の[>]マークをクリックして展開して,画面のとおりになっているかを確認する
一応,Acrobat等で作成した本人確認情報と署名パネルを比較して,「署名理由」と「変更は許可させていません」,「バージョン1」以外の場所に違う記載がないかを確認して,違いがなければ完了です。


✅ 申請用総合ソフトへの添付

上記手順で作成した 電子署名付きPDFを申請用総合ソフトで添付 すれば 問題なく申請可能でした。

Acrobatに依存しない方法を探している方は、ぜひ試してみてください

法務局に提出する原本還付のコピーのサイズに要注意

今日は,法律的な話ではないのですが,法務局に提出する書類のコピー作成時の注意点についてお話ししたいと思います。

法務局では,運転免許証等のコピーを除き,基本的に原本の提出が必要です。ですが,原本を返却してもらうために「原本還付」の手続きを行うことができます。
(参考 法務局「申請情報(申請書)と併せて提供する情報(書類)は原本でなけれ
ばならないのですか?
」)

原本還付の手続きとは,原本と同じ内容のコピー(謄本)を作成し,司法書士などの提出者が「原本と相違ない」ことを証明することで,原本を返却してもらうというものです。

コピーのサイズが変わると補正が必要に?

ここで気をつけてほしいのが,スキャナーの設定です。

スキャナーを「自動設定」のままにしていると,用紙サイズが勝手に最適化され,原本と比率が変わってしまうことがあります。特に,原本がB5やA5サイズだった場合,A4に引き伸ばされてしまうことがあります。

この状態でコピーを提出すると,法務局から「補正(コピーの再提出)」を求められることになります。

ミスを防ぐためのポイント

スキャナーの設定を「自動」ではなく,A4固定などに変更する
 (参考 セイコーエプソン社「拡大/縮小と解像度の関係」)
原本とコピーを重ねてサイズが合っているか確認する
比率が変わってしまった場合は,再度スキャンし直す

法務局に書類を提出するときは,内容だけでなく,形式的な部分にも注意が必要です。コピーのサイズが変わるだけで,余計な手間が増えてしまうので,ぜひスキャンの際は設定を確認してください。

登記情報の地番検索が劇的進化!?地番検索サービスの更改

📌 地番検索サービスが大幅アップデート
登記情報サービス上にある 「地番検索サービス」3月31日リニューアル決定しました。
(民事法務協会「🔗地番検索サービスリニューアルに向けたプレサイトの公開について」)

📌 ベータ版で新機能を先行体験
現在,ベータ版が公開されており,実際の使用感を試すことができます。
🔗 地番検索サービス ベータ版

✨ リニューアルのポイント ✨
地図から簡単に地番検索が可能 📍
宅地だけでなく、道路や用悪水路の検索も対応
従来よりも詳細で直感的なUIになりました

📌 気になる点も…?
現時点では 登記情報の地番には反映不可 ですが,地図の視認性向上により,ブルーマップがなくても地番調査が飛躍的に向上 しそうです。
ただし,地図と地番の位置にズレがあるエリアも確認 されており,今後の精度向上に期待したいところです。

💡 今後,登記情報サービスの利便性がさらに向上するかも
気になる方はぜひ ベータ版をチェックしてください。 👀

会社設立がさらに早く, 定款認証の「48時間処理」が全国展開へ

これまで南関東・大阪府・愛知県・福岡県など一部地域で限定 されていた 「定款認証の48時間処理」 が,全国展開 されることになりました。

📌 定款認証の「48時間処理」とは?
日本公証人連合会が提供する 「定款作成支援ツール」 を利用して定款を作成し,公証人役場に提出すると,原則48時間以内に認証手続が完了 する制度です。
(参考:日本公証人連合会「定款認証の48時間処理利用マニュアル」)

📌 さらに「設立登記の72時間処理」も実現へ
公証役場と法務局の連携によって,一定の要件を満たせば設立登記も72時間以内に処理される 仕組みが導入されます。
(参考:法務省「スタートアップ支援のための定款認証に関する新たな取組について」)

🔹 全国展開のメリットは?
会社設立のスピードが向上(従来よりも数日早く設立可能)
公証役場と法務局の連携強化で手続きの効率化
全国どこでも「早期設立」が実現可能に

今後,全国で株式会社の設立がさらに迅速化される ことが見込まれます。
スピーディーな起業を検討している方は,活用してみてはいかがでしょうか?

WordPressのアップデートができない!?SELinuxによる書き込み制限

SELinux を運用しながら WordPress を更新する際に,FTP 接続情報の入力画面が表示される 問題についての解決策をまとめました。


問題の原因

SELinux により,WordPress のディレクトリ./wordpress に対して 書き込み権限が制限されている ため,WordPress が通常の 直接更新 を行えず、FTP 接続を求めてきます。

エラーログ(ausearch の出力)からも,httpd_sys_content_t のコンテキストでは 書き込みが許可されていない ことが確認できます。

type=AVC msg=audit(xxxxxxxxx.xxx:xxxxx): avc: denied { write } for pid=xxxx comm="php-fpm" name="wordpress" dev="dm-0" ino=xxxxxxxxx scontext=system_u:system_r:httpd_t:s0 tcontext=unconfined_u:object_r:httpd_sys_content_t:s0 tclass=dir permissive=0

解決策

① SELinux のコンテキストを一時的に変更

以下のコマンドで,WordPress のディレクトリに書き込み権限を付与 する。

sudo chcon -R -t httpd_sys_rw_content_t .(どこか)/wordpress/

この操作で,WordPress が更新ファイルをダウンロードし,直接適用できるようになります。


② WordPress の更新を実施

管理画面から WordPress の更新 を実行する。
FTP 接続画面が表示されずに,直接更新ができるようになります。


③ 更新後、元の SELinux コンテキストに戻す

更新完了後に、本来の SELinux の設定に戻す ことで、余計な書き込み権限を解除します。

sudo restorecon -R -v .(どこか)/wordpress

これにより,WordPress ディレクトリの SELinux コンテキストがデフォルトに戻り,セキュリティが保たれます。


④ 永続的に書き込みを許可する場合(オプション)

頻繁に WordPress を更新する場合は,SELinux の設定を変更して 永続的に書き込みを許可 することもできます。(セキュリティ的にはやや劣後します)

sudo semanage fcontext -a -t httpd_sys_rw_content_t ".(どこか)/
wordpress(/.*)?"
sudo restorecon -R -v .(どこか)/wordpress

まとめ

方法SELinux の設定更新後に戻す必要
chcon で一時的に変更httpd_sys_rw_content_t を適用必要restorecon
semanage fcontext で永続的に許可.(どこか)/wordpress/ のコンテキストを変更不要

どの方法が適切か?

🔹 厳格なセキュリティ管理が必要な場合
 ✅ chcon を使って一時的に変更し,更新後 restorecon で戻す
🔹 他のアプリケーションの影響を最小限にしたい場合
 ✅ semanage fcontext.(どこか)/wordpress のみ書き込み許可

また,「setsebool -P httpd_unified 1」 を有効化する方法もあるようですが,セキュリティ的にさらに劣後することになります。これについては,他サイトを参照してください。(未検証)

これらの方法で,SELinux を有効に保ちつつ,WordPress の更新をスムーズに行えるようになるでしょう。

国庫に入る遺産が過去最高1,000億円超

令和5年度に相続人がいない遺産が国庫に帰属した総額が1,015億円に達したとのことです。
(日経新聞社【国庫に入る「相続人なき遺産」、初の1000億円超 23年度】)

遺産が国庫に入るというのは,子や孫,兄弟姉妹がいない方が遺言書を作成していなかったために発生したケースや,相続人全員から相続放棄した場合に発生します。
この場合には,相続財産清算人が選任され,債務や税金の支払いを終えた後,行き先のない財産が国庫に帰属するという流れになります。

◆遺言書の重要性
1,000億円を超える財産が国に帰属したということは,それだけの資産が遺言書で 特定の人や団体に遺贈される機会を失ったともいえます。

もし,身近に相続人がいなくても,
親しい友人や知人にのこす
お世話になった団体へ寄付する(公益法人・NPOなど)
地域貢献のために自治体や地域団体に寄付する
といった形で,遺産を生かす方法は多くあります。

特に,近年では 「遺贈寄付」 への関心も高まっており,遺言書を活用して社会貢献を行う ことも可能です。

「自分には相続人がいないから…」とあきらめず,自分の財産をどう活用するかを共に考え,遺言書を作成することが重要かと思います。