デジタル資産や暗号資産の相続はわかりづらい

故人の資産の保管場所を相続人に教えておかない場合も多いです。

集英社にデジタル資産の相続税の申告忘れの記事がありました。
参照 集英社オンライン:【現代の相続問題で一番気をつけるべきは「デジタル資産」。申告忘れには加算税や延滞税が上乗せされる…相続専門税理士が指摘する3つの問題点とは

故人の資産のうち,デジタル資産や暗号資産を知らないところで探すということは,とてつもなく大変なことです。書面の取引であれば,四半期に1回程度,有価証券の取引履歴が証券会社や信託銀行から送付されてきたり,銀行の通帳があったりしますが,デジタル資産や暗号資産の場合には,契約から取引履歴まて,オンライン上で完結している場合も多く,すぐに探し出すというわけにはいきません。
(例 SBI証券「電子交付」,松井証券「取引しましたが取引報告書等が送られてきません。」)

探すことに着手するにしても,金融機関数だけでも,1,382件程度。(2024年5月31日現在 日本金融通信社:「最新の業態別金融機関数」)その中でもネット銀行にあたる,その他銀行だけでも15行,証券会社で271法人も存在するため,調査するにもなかなかの労力と費用がかかります。
また,暗号資産取引所も32社(2024年6月3日現在)あるそうです。(日本暗号資産取引業協会「統計情報」)

できれば,デジタル資産をお持ちのかたは,「エンディングノート」等(参考:長野地方法務局/長野県司法書士会「エンディングノートを作成しました」)を活用していただき,デジタル資産や暗号資産の口座の取引先を1年に1回程度記録しておいたほうがよいかと思います。

参考までに,暗号資産は,故人の相続人が請求しないと消滅時効にかかることもあります。(参考 日本暗号資産取引業協会:「暗号資産取引業における主要な経理処理例示」Ⅲ 経理処理等)その場合は,多額の暗号資産を喪失することもありますので,注意が必要です。