管理などに障害のある不動産について,公的に管理する制度が4つあります。2つは前から存在する「不在者財産管理人」や「相続財産清算人」(旧相続財産管理人)によるものです。
あとの2つは,今年度から導入されたものとして,「所有者不明・土地建物管理制度」と「管理不全・土地建物管理制度」があります。
制度を紹介すると,
「不在者財産管理人」
従来の住所又は居所を去るなどして容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産の管理人がいない場合に,家庭裁判所が申立てによって,不在者財産管理人を選任します。(参考:最高裁判所「不在者財産管理人選任」)
管理範囲は「1人」単位の全財産となります。
「相続財産清算人」
相続人の存在,不存在が明らかでないときに,家庭裁判所が申立てによって,相続財産の清算人を選任します。(参考:最高裁判所「相続財産清算人の選任」)
管理範囲は「1人」単位の全財産となります。
「所有者不明・土地建物管理制度」
調査をしても所有者やその所在を知ることができない土地・建物については,利害関係人の「地方裁判所」への申立てにより,その土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができます。(参考:法務省「所有者不明土地の解消に向けて、不動産に関するルールが大きく変わります。」)
管理範囲は対象不動産単位(共有であっても可)となります。
「管理不全・土地建物管理制度」
所有者による管理が不適当(例 ひび割れ・破損が生じている擁壁,ゴミの放置・害虫の発生)である土地・建物については,利害関係人の「地方裁判所」への申立てにより,その土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができます。
管理範囲は対象不動産のみとなります。
このように,事案に応じて管理人を家庭裁判所または地方裁判所に管理人を選任してもらうことになりますが,今年度導入された2つは不動産の管理の障害の対応に特化した制度となっています。