本年の印象としては,相続登記義務化2年目を迎え,制度自体もかなり浸透してきており,義務化を認識した上でのご依頼も相当数増えてきたと感じています。
来年4月からは,住所変更登記の義務化も開始されます。これに伴い,法務省においては,登記申請の際に,個人については電子メールアドレスの登録を,法人については会社法人等番号の登録を行ってもらい,その情報を基に,電子メールや郵便等により,住所変更登記が必要となった旨を通知する制度を開始する予定とされています。
この制度に対応するため,当事務所においても,個人の方には直近での転居の有無や電子メールアドレスの有無をお伺いする運用を,すでに始めているところです。
相続登記および住所変更登記が義務化された背景には,従来,登記簿の内容が実際の権利関係や居住状況を必ずしも反映していないケースが多かったという事情があります。これを是正し,実体に即した名義・記録とするために,前記の各制度が整備されたものと考えられます。
具体的には,不動産管理の不備や,固定資産税等の租税が適切に徴収できていない事例が相当数存在していたとされ,これらを速やかに是正することが主な目的であると思われます。今後は,登記制度自体が,不動産の実態把握のための基盤として,より一層の社会的役割を果たすことが求められていくものと考えられます。
さらに,登記制度の信頼性を一層高める観点から,近年の外国籍の方による不動産取得の増加を踏まえ,取得時に登記と併せて国籍を登録する制度についても検討が進められているようです。この点についても,来年以降,引き続き注目していきたいところです。
また,当事務所では,登記業務に限らず,財産をお預かりする業務に携わることも少なくありません。
近時,一部の士業による不適切な財産管理が報道される事案も見受けられることから,当事務所においても,預り財産の管理体制について,より一層の厳格化と透明性の確保に努めているところです。
来年もどうぞよろしくお願いします。
