相続対策

相続対策という言葉をよく聞きます。

相続対策のその方法や目的はさまざまですが、
亡くなる前に自身の財産を
誰に継いでもらうかを決めて
それを円滑にするための対策も
そのひとつです。

例えば、
・世話になった子供に一定の遺産をわたす。
 (遺産分割方法の指定)
・世話になった恩人に一定の遺産をあげる。
 (遺贈)
・子どもたちの相続の割合を決めておく。
 (相続分の指定)
・今経営している会社を誰かに経営権を円滑に渡したい。
 (経営権の指定)
・子供がいないので、亡くなったあとは、しっかりした誰かに遺産を管理してもらう。

・慈善団体に寄付する。

など

これらは、「公正証書」とか自筆の「遺言書」や、「信託契約」によって
実現できます。

この方法による場合は、
後日の相続人同士のトラブルを防ぐことや
相続を受けた方の円滑な手続きに貢献したり
なによりも、死んだあとのことを意思表示しておく
という意味合いがあります。

また、ほかにも相続対策という言葉ですることもあります。
例えば、死後の税金対策、
税金にせず、どうやって相続人に多く渡すかという側面です。
この場合は、税理士先生などの専門家のアドバイスも必要であるかもしれませんが、
計算が複雑であったりして、対策したことが実は損をしているということも
多いようです。

難しいところは、生きている間に遺言や対策をするのですが、
生きている間に事情がかわるということです。
遺言は、すぐに撤回や変更ができるのですが、
税金の対策などは、後戻りできなくなったりすることがあります。

そのあたり、慎重に進めないといけないですよね。

遺言書の様式 メモ

司法書士試験用のメモですが
参考になるので載せておきます。
遺言の種類と、民法何条か、筆者は誰か、検認が必要かを記載しました。

・遺言の方式一覧

種類 条文 証人・立会人 筆者 署名捺印 その他要件
自筆証書遺言 968 不要 本人 本人 検認必要(1004-1項)
公正証書遺言 969 証人2人以上立会い 公証人 本人・証人・公証人 検認不要(1004-2項)
秘密証書遺言 970 公証人1人及び証人2以上の前に封書の提出 基本は本人 本人と、封書に本人、証人及び公証人 検認必要(1004-1項)
成年被後見人遺言 973 医師2人以上立会い 本人 本人と立ち会った医師(事理を弁識する能力があったことを付記)、秘密証書のときは封書に本人、証人、立ち会った医師及び公証人 検認必要(1004-1項)
死亡危急遺言 976 証人3人以上立会い 証人の一人が口授を筆記、遺言者と証人に読み聞かせ又は閲覧、各証人が承認が必要 各証人 遺言から20日以内に家裁の確認が効力要件。(976-4項)口がきけない場合は通訳人通訳により申述してしなければならない。耳が聞こえないものである場合は通訳人通訳によって、読み聞かせに代えることができる。検認必要(1004)
在船者遺言 978 船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会い 本人 本人・筆記者・立会人及び証人 検認のみ必要(1004-1項)
船舶遭難者遺言 979 証人2人以上の立会い 証人の一人が趣旨を筆記 各証人 証人または利害関係人から遅滞なく家裁への確認が効力要件。口がきけない場合は通訳人通訳によりしなければならない。検認必要(1004)
伝染病隔離者遺言 977 警察官1人及び証人1人以上の立会い 本人 本人・筆記者・立会人及び証人 検認のみ必要(1004-1項)

・証人、立会人の欠格事由

未成年者

推定相続人、受遺者、及びにこれらの配偶者及び直系血族

公証人の配偶者、四親等内親族、書記及び使用人

お墓の相続

今日は、お墓の相続のはなしをします。

通常、相続人同士で遺産分割協議をする場合に、
土地や建物、預貯金などの分配について
考えますが、お墓などはどうなんでしょう。

お墓は、実は通常の相続財産とはならず、
亡くなった方の指定したひとや
慣習などで「祖先の祭祀を主宰すべき者」に
委ねられることになります。
(民法897条)

「祖先の祭祀を主宰すべき者」
とは家や地域の慣習によって決められた
祭祀財産を承継するひとのことをいうみたいです。

お墓は相続財産の対象とは
ならないということですね。

でも、ほとんどの場合
「祖先の祭祀を主宰すべき者」は
相続人のうちのひとりであるため、
それが誰なのかをはっきりさせるために
遺産分割協議書に明記したりもします。

意外にそういうことも重要なのかもしれませんね。

故人への弔い

相続手続きって、故人への弔い(とむらい)
でもあるという話もします。

司法書士などの士業のする
相続手続は、亡くなった方の
財産の把握とその名義変更などの仕事が主です。

でも、その手続きは、
そんなに急を要するものではありません。

急ぐところでは、
相続放棄や限定承認  知って3か月以内
(民法915条)
相続税の申告     知った日の翌日から10か月以内
(相続税法27条1項)

故人名義の不動産などの
相続手続きは、どうしても
遅れがちになります。

遅れすぎて、次の相続が始まったり
しているものも数多くあります。。

しかしながら、
遅れれば遅れるほど
その手続が煩雑になったり
手の付けられない
状況に陥ることもあります。

でも、この手続って
故人への弔いのように感じることがあります。

財産を整理することは
生きていた道やあかしを次の人に受け継ぐこと。。

そんな感じがするのです。

戸籍の文字って

古い戸籍ってよみづらいですよね。。

今日は
戸籍についてのおはなしです。

相続に関する仕事をしていると、
戸籍について触れることが多いです。
というかほぼそれがメインですね。

戸籍制度というのは、
家族単位で人を記録する制度です。

家族単位というのは、世界的には
めずらしいみたいです。

現在の戸籍も家単位ですよね。
家単位というのも議論があるところですけど。

戸籍という記録も
古くは明治初期の
壬申戸籍(じんしんこせき)までさかのぼることができます。

でも、戸籍は奈良時代からあったようですけどね。
(日経新聞 戸籍の最古の木簡とされるもの
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG12031_S2A610C1CR8000/)

その後明治31年に戸主を中心とした
大家族の記録するようになります。
そのころの戸籍をみると
戸主のきょうだいの妻子も
記録されています。

このころは、とある身分や犯罪歴も
記録されたようですね。

差別の温床ともなっていたわけで。

あとで黒塗りにされたみたいですけど。。

それにしても、この昔の戸籍が
よみづらい。。
当然、人の字で書かれていて
数字も感じで「壱」「弐」「参」だったり
読めないひらがなや漢字が盛りだくさんです。

創作文字もあるんですよ!!

創作文字というか、
いろいろなひらがなや
漢字ですかね。

造りのへびみたいなものがあったり、
変なところに点が打ってあったり。。

その後、大正4年式などを経て、
戦後の民法改正で
核家族単位で記録されることになります。
(戸籍法14条以下)
現在の戸籍もそうです。
(いわゆる昭和の改製)

今後もどのような戸籍に出逢うことか‥。

旧民法

旧民法親族編では、今は聞きなれない言葉が数多くある。

「家督相続」、「継子」、「戸主」など

現代を生きる我々には、なじみもなく、もはや廃れた言葉であるといっていい。

しかしながら、相続を考えるに旧民法の規定が必要なときがある。

実は昭和22年に民法が改正され

日本にあった家を単位とした制度は変化し

それにともなって、女性の地位も法律的に、向上したといっていい。

ならば、なぜそれより昔の民法を解き明かさなければならないのか。

それより前に亡くなったかたの財産が名義も変えられず、

そのままになっていることが多いからである。

それを当ブログで解き明かしていく予定である。