昨今、成年年齢を引き下げるという話が時々出ている。
成年年齢は現在20歳であるが、
それをおおむね18歳に引き下げるというものだ。
おそらく、期待している効果は、
1.選挙権があたえられる年齢を18歳にして、
年齢層の低い民意を反映させる。
2.少年法適用の年齢を引き下げて、
18.19歳には通常の刑法、刑事訴訟法を直接に適用させる。
である。
でも、そもそも財産法や家族法の観点では、
未成年の行為能力の制限は、未成年を制限することを目的としたものでは、
むしろ保護する制度であるとおもわれる。
どういうことかというと、
1.未成年者は財産処分を親権者の同意がなければ、取り消すことができる。
(民法5条2項)
2.未成年者は親権者または、未成年後見人の保護の元にあり、以下の監護上の権利がある。
監護、教育される権利(同820条)、財産を管理してもらう権利(同827条)
大きな財産などを親権者以外の者に管理してもらう権利(同830条)
家庭裁判所にだめな親権者や監護者を変えてもらう権利(同834-837条)
3.遺言の作成や結婚は18歳でもできる。
にもかかわらず、成年年齢を引き下げようとしているのは、
国民投票法の附則3条にあるように、ただ単に憲法改正のための国民投票に
18歳、19歳をかり出そうとしているのではないだろうか。
しかしながら、先般発表された憲法改正について賛否については、
若い世代が決して多く賛成しているわけではないようだ。
つまりは、成年年齢を引き下げて、若年者の保護を解いて、どうしたいのだろうか。