メモリーの高騰

パソコンやサーバー向けのメモリー価格が,昨年後半以降,急激に高騰しているようです。

参考として,メモリーメーカーであるCrucial製の32GBメモリーを2枚(計64GB)使用した製品について,価格ドットコムの推移を見てみました。
昨年7月頃までは,おおむね2万円から2万5,000円程度で購入できていたものが,現在では7万5,000円前後となっており,価格は約3倍にまで上昇しています。
(参考 価格.com「CT2K32G4DFD832A [DDR4 PC4-25600 32GB 2枚組] の価格推移グラフ」)

近年,パソコン本体の価格上昇自体は見られるものの,3年ほど前から,グラフィックボードを除けば,CPUやストレージ,メモリーといった主要デバイスの性能には,大きな進化が見られません。
それにもかかわらず,価格だけが急激に伸びている印象があり,特にメモリー価格の上昇は顕著です。

このメモリー価格高騰の要因としては,円安傾向の影響も指摘されていますが,主な原因は,生成AIサービスの拡大に伴う,データセンターの新規稼働増加にあるとされています。
(参考 Gigazine「DRAM価格の高騰について業界各社は「AI需要が原因」と説明しているが実質的な価格操作が行われているとの見方も」)
(参考 ニュースウィッチ『AI向けシフト、不足深刻化…「半導体メモリー」の価格上昇が止まらない』)

事業用として使用するパソコンは,税法上は固定資産に該当する場合があるものの,実務上は消耗品に近い扱いをせざるを得ません。定期的に買い替えなければ,経年劣化による故障が増え,業務の円滑な遂行に支障を来すおそれがあるためです。

適正な価格でパソコンが安定的に流通する環境を維持するためにも,メモリーを含む各種デバイスの価格が,早期に落ち着くことを願うばかりです。

世間で騒がれている個人事業主の社会保険加入サービス

・会社員と個人経営者の健康保険と年金の違い

個人経営者や家族経営の場合,経営を法人化していないケースも多く見られます。法人化した場合と,しない場合の社会保険については,おおむね以下のように整理できます。

健康保険年金
会社員・法人役員
(法人化した場合)
全国健康保険協会や業界の健康保険組合の健康保険厚生年金
個人経営者
上記社会保険の無加入者
(法人化しない場合)
(都道府県の)
国民健康保険
国民年金

・会社員の健康保険と年金

会社員等の場合,健康保険料や年金保険料は,給与や報酬を基準として計算され,給与から天引き(源泉)される形で徴収されます。そのため,いくら支払っているのかを個々人が強く意識することは少なく,法人側が徴収し,健康保険組合や厚生労働省に納付する仕組みとなっています。

健康保険料や厚生年金保険料の額は,過去の給与等をもとに標準報酬月額を定め,通常は法人と会社員等がそれぞれ半分ずつ負担します。

・個人経営者の健康保険の負担が大きい?

個人経営者等の場合,健康保険については,前年度の収入や支出をもとに国民健康保険料が確定され,年金については,1人あたりほぼ固定額の国民年金保険料を支払うことになります。

国民健康保険料は,全額を自身で負担し,かつ前年の所得により金額が決まるため,現在の収入や資産状況と必ずしも一致しないことがあります。この点が,国民健康保険料に対する負担感を高めている一因といえます。

さらに,会社員等の健康保険料や厚生年金は,扶養家族が増えても保険料が直接増加しないのに対し,個人経営者等の国民健康保険料や国民年金は,世帯単位・人数単位で請求されるのが通常です。
そのため,家族が多い場合には,負担感がより大きくなります。

・マイクロ法人を設立で税金の節約と保険料抑制

こうした健康保険料や年金保険料を抑える方法として,いわゆる「マイクロ法人」を設立し,個人経営者がその法人の役員や従業員となることで,社会保険料を抑えるスキームが知られています。

このスキームは,まず所得税から法人税・事業税へ切り替えることで税負担が軽減されるかを検討するところから始まります。ただし,すべての個人経営者にとって有効とは限りません。法人の設立には一定の費用がかかり,設立後も個人と法人の双方について申告が必要となります。

また,法人には,利益がなくても課税される地方事業税の標準課税があり,この負担は法人を解散・清算結了するまで継続します。そのため,法人の維持費用が,個人事業の場合よりも大きな負担となることがあります。
将来的に収入が少なくなる,あるいは休眠状態が予想される場合に,法人を設立・維持する判断は,慎重であるべきと考えます。

・脱法的なスキームか?

こうした法人設立のリスクを避ける方法として,他人が設立した「社会保険料削減のみを目的とする法人」の役員に就任するスキームも存在します。

この方法では,個人事業主として多額の収入があっても,役員報酬を少額に設定することで,その金額を基準とした標準報酬月額により,ほぼ最低額の健康保険料・厚生年金保険料のみを支払います。その結果,国民健康保険料や国民年金保険料の支払いを免れることになります。

しかし,このスキームはいわゆる「脱法的」なものであり,実質的な収入があるにもかかわらず,自治体の国民健康保険財政を圧迫し,また会社員等が支えている健康保険や厚生年金制度を,最低限の負担で利用するものです。
国民健康保険・国民年金制度の根幹を揺るがしかねないだけでなく,健康保険組合や厚生年金制度全体にも悪影響を及ぼすおそれがあります。

さらに,利用される法人の多くは一般社団法人や合同会社であり,役員として登記されることで,利用者の氏名が公的に特定されるというリスクも伴います。
社会保障制度の観点からも,社会的な評価の面からも,このスキームの利用はおすすめできません。

・最後に

税と同様に,社会保険料についても,収入に応じた適正な負担が求められるところです。
今後,社会保険料負担の不均衡に対してどのような制度的対応がなされるかは不透明ですが,収入に見合い,かつ負担感の公平な制度へと改善されていくことを願うばかりです。

令和8年の始まり

あけましておめでとうございます。
本年も当事務所をよろしくお願いいたします。

本年4月より,住所変更の義務化を伴う不動産登記法令が施行されます。
(参考:法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」)

これにより,不動産登記は,従来以上に財産の保全という観点から重要性を増すものと考えられます。
住所変更登記をはじめ,相続登記など不動産に関する各種手続についても,お困りのことがありましたら,お気軽にご相談ください。

相続登記・住所変更登記の義務化と今後の展望

本年の印象としては,相続登記義務化2年目を迎え,制度自体もかなり浸透してきており,義務化を認識した上でのご依頼も相当数増えてきたと感じています。

来年4月からは,住所変更登記の義務化も開始されます。これに伴い,法務省においては,登記申請の際に,個人については電子メールアドレスの登録を,法人については会社法人等番号の登録を行ってもらい,その情報を基に,電子メールや郵便等により,住所変更登記が必要となった旨を通知する制度を開始する予定とされています。
この制度に対応するため,当事務所においても,個人の方には直近での転居の有無や電子メールアドレスの有無をお伺いする運用を,すでに始めているところです。

相続登記および住所変更登記が義務化された背景には,従来,登記簿の内容が実際の権利関係や居住状況を必ずしも反映していないケースが多かったという事情があります。これを是正し,実体に即した名義・記録とするために,前記の各制度が整備されたものと考えられます。
具体的には,不動産管理の不備や,固定資産税等の租税が適切に徴収できていない事例が相当数存在していたとされ,これらを速やかに是正することが主な目的であると思われます。今後は,登記制度自体が,不動産の実態把握のための基盤として,より一層の社会的役割を果たすことが求められていくものと考えられます。

さらに,登記制度の信頼性を一層高める観点から,近年の外国籍の方による不動産取得の増加を踏まえ,取得時に登記と併せて国籍を登録する制度についても検討が進められているようです。この点についても,来年以降,引き続き注目していきたいところです。

また,当事務所では,登記業務に限らず,財産をお預かりする業務に携わることも少なくありません。
近時,一部の士業による不適切な財産管理が報道される事案も見受けられることから,当事務所においても,預り財産の管理体制について,より一層の厳格化と透明性の確保に努めているところです。

来年もどうぞよろしくお願いします。

相続手続きで複雑なこと

故人が亡くなったあとの手続きには,葬儀をはじめ,さまざまなものがあります。その中でも,「遺産の名義変更」と「相続税の申告」は,特に負担が大きく,煩雑な手続きにあたるといえるでしょう。

当事務所で主に関わるのは,このうち「遺産の名義変更」の手続きですが,相続発生前の段階で,「何か事前に対策をしておいたほうがよいのか」というご相談をいただくことが少なくありません。

事前対策の必要性は,ご本人の意識やご家族の状況によって差がありますが,次のような事情がある場合には,特に対策の重要性が高いと考えられます。

・相続人の中に,連絡が取れない方がいる場合
・相続人同士で,将来的にトラブルが生じる可能性がある場合
・相続人の中に,海外在住の方や,日本国籍でない方がいる場合

これらのケースでは,相続発生後に話し合いが難航したり,手続きが長期化することが珍しくありません。

相続対策として考えられる代表的な方法には,次のようなものがあります。

・公正証書による遺言書の作成
・自筆証書による遺言書の作成
・家族信託契約の活用

いずれの方法が適しているかは,財産の内容や家族構成,ご本人の考え方によって異なります。
早い段階で整理しておくことで,相続発生後の負担を大きく軽減できる場合もありますので,気になる点があれば,司法書士等に相談することをおすすめします。

年末年始は,相続のお話しを家族でするいい機会です。ご検討いただけたらと思います。

セキュリティ対策として SPF・DMARC を導入

いわゆる電子メールの仕組みは,昔ながらの POP3 や SMTP というプロトコルの上に成り立っています。
とても便利な一方で,セキュリティ面ではどうしても古い部分が残っており,大量送信が容易なことから,不正な攻撃に悪用されてしまうことがあるようです。

最近では,認証情報を狙った不審メールを大量に送り続けるタイプの攻撃が増えているとの報道もあります。
(参考:日本経済新聞「世界の不審メール7億通、8割は日本標的」)

こうした状況を受けて,特に Gmail や携帯キャリアのメールでは強力なフィルタが導入されています。
しかしながら,仕組みの詳細が公開されているわけではなく,システム管理者にとっては「どこで弾かれているのか分からない」状況になることも多いのが実情です。

Gmail では,SPF レコードや DKIM,DMARC といった認証技術の導入を強く推奨しているようです。
(参考:Google「認証方法について(管理者向け)メール認証の基本を学ぶ」)

当事務所でも,外部への送信メールを一部システムで利用していることから,今回は SPF レコードと DMARC の設定を行いました。

参考にしたのは次のサイトです。

設定後,オープン側のサーバー(基幹サーバーではありません)から送信したメールについて,SPF も DMARC も「PASS」と判定されるようになりました。これにより,Gmail やスマホキャリア宛ての返信メールでも,これまでより安定して届くようになったと思います。

今後もセキュリティへの配慮を続けながら,メールシステムの安定運用に努めていきます。

↓設定実施前のgmailのメールソース

↓設定実施後のgmailのメールソース

名義預金に注意,相続税対策として

知り合いの税理士の先生から伺った話なのですが,相続税の対策として長年よく行われてきた「名義預金」について,今もなお税務調査で指摘される可能性が高いそうです。

いわゆる名義預金とは,親が子どもの名義で預金をし,その名義を利用して相続財産を減らすように見せる方法です。

(参考 国税庁 被相続人以外の名義の財産 )

特に,子どもが未成年のうちからコツコツ預金しているようなケース(よく見かけるのですが)では,一見子どもの財産に見えても,実際には親が管理し,親が自由に動かせる状態であることが少なくありません。

このような場合,税務署から税務調査等で「実質的には親の財産」と判断され,相続税の対象として扱われることがあります。

しかも,過去数十年にさかのぼって調査される可能性があるとのことで,思っている以上に影響が大きいようです。

相続税の対策を考える際は,名義預金も含めて一度状況を整理しておくことが大切だと感じました。

預金の管理状況や入出金の経緯を早めに確認しておくことで,将来のトラブルを避けられることもあります。

詳しくは司法書士ではなく,税理士にご相談いただければと思います。

想定外のPoppler更新で大混乱:登記情報変換の再構築記

弊所ではこれまで,登記情報等の PDF を変換する手段として,Fedora に含まれる Poppler の「pdftohtml」を利用していました。
しかし,変換時の不具合が発生したため,「pdftotext」へ切り替えることにしました。

この変更により,PDF→html に変換したうえで bash で文字操作を行っていた従来の仕組みを,PDF→テキスト(平文)へ変換してから処理する方式に改めました。

html とテキストでは性質が大きく異なります。
タグがなく,レイアウトの概念もないため,テキストの並び順や内容,さらには PDF の線の位置などから判断して精査する必要があります。

実際に確認してみると,土地や一般建物については情報の位置がほぼ一定で,それほど手間はかかりません。
一方,区分建物と会社登記はレイアウトや内容が多様であり,土地・一般建物に比べて複数のパターンに対応しなければならず,処理が複雑になりました。

さらに,テキスト精査は html を扱う場合よりも文字位置が安定せず,どうしても内容を逐一確認しながら処理する形となります。
そのため,bash の cut などの単純な文字操作では対応しきれず,変数展開を多用することになり,結果として処理速度も低下しました。

こうした調整を重ね,ようやく新しい登記情報変換システムが形になりました。
今後は,変換後のデータに誤りがないか確認しつつ,業務で安定して使えるよう整えていこうと思います。

登記情報から文字を抽出するソフトによる不具合

Fedora42 から 43 にアップデートした際,「pdftohtml」を含む Poppler が同時に 24.x から 25.x へ更新されました。
通常であれば特に問題は生じませんが,登記情報の PDF を html に変換したところ,書式が大きく変わってしまいました。

アップデート前

┏━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓&#160;<br/>   ┃専有部分の家屋番号│710-1 ~ 710-44                                ┃&#160;<br/>   ┠─────────┴─────────────┬──┬───────────┬─────┬───────────┨&#160;<br/>   ┃ 表  題  部  (一棟の建物の表示)   │調製│平成8年7月11日  │所在図番号│        ┃&#160;<br/>

アップデート後

┏━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓<br/>   ┃専有部分の家屋番号│710-1 ~ 710-44                                ┃<br/>   ┠─────────┴─────────────┬──┬───────────┬─────┬───────────┨<br/>   ┃ 表  題  部  (一棟の建物の表示)   │調製│平成8年7月11日  │所在図番号│        ┃<br/>
   

レイアウトが変わっただけでなく,アンダーバーを含む文字が取り込めなくなるなど,変換精度に影響が出ています。

これにより,申請書・委任状・各種物件データや役員データの管理で使用していた自作の変換ソフトが,文字数やタグ構造の変更にまったく対応できなくなりました。
仕様変更は避けられず,作業全体の見直しを迫られています。

そこで,変換手段を「pdftohtml」から「pdftotext」に切り替えることにしました。
ただ,「pdftotext」では登記情報特有の全角スペースがうまく変換されず,従来の「文字数で位置を特定する方法」が使えなくなりました。結果として,線やレイアウトを手がかりに判定する方式へ移行せざるを得ません。

一日でも早く状況に対応し,システムを復旧させたいところです。

Fedora42→Fedora43

2025年10月28日に Fedora 43 がリリースされたため,メインサーバー(クローズド環境)を早速アップデートしました。

手順は次のとおりです。

#事前準備
dnf upgrade --refresh
reboot -n

#ダウンロード
dnf system-upgrade download --releasever=43 --allowerasing
#(Fingerprintを確認)

#アップグレード実行
dnf system-upgrade reboot

アップグレード後,いつもどおり eFAX サーバーと Nextcloud の設定を再投入する必要がありましたが,
今回は dovecot(IMAP メール受信サーバー)で問題が発生しました。

dovecot が 2.3 から 2.4 にバージョンアップしたことにより,設定記述の方式が一部変更されています。
特に メールのパス指定 が変更されており,元の設定に戻す必要があります。

vi /etc/dovecot/dovecot.conf
mail_path = ~/mail

本来のメールパス

また,「/etc/dovecot/conf.d」以下の 「10-mail.conf」 などの設定ファイルが削除または無効化されていました。
そのため,必要に応じて設定を再作成・再有効化する必要があります。
再作成する場合には,記述方法がver2.3とは異なっているので注意が必要です。
(参考 Dovecot CE「Upgrading Dovecot CE from 2.3 to 2.4」)