株式交付制度

株式会社の親会社が子会社の株主から子会社の株式を取得して,子会社の株主を親会社の株主にすることによって,子会社を完全子会社化するものを株式交換といいますが,株式を全部取得せず,子会社にする株主の譲渡によって一部を取得し,子会社化する制度を株式交付といいます。(会社法第2条第32の2号)

よって,もともと子会社の株主を積み増すときや,子会社でない株式を取得して子会社化しない場合は,株式交付は利用できません。

また,株式交換とは異なり,親会社は株式会社でなければならず,持分会社ではこの制度は利用できません。(同号)

ちょっと考えただけでも,株式交換と似た制度のため,混同しやすいのですが,法令もかなり複雑になっています。

例えば,株式交付制度のいわゆる簡易な株式交付(同法第816条の4第1項)では,親会社の反対株主の買取請求権が認められていません。略式制度もありません。

ところが,会社法第816条の6第2項第1号には株主総会決議のあるときの株主,第2号には決議がない,簡易手続と略式手続の買取請求権が規定されています。
複雑すぎて必要のない第2号が規定されてしまったのでしょうか。

このように,株式交付は非常に複雑な立法がされているといえると思います。