相続未登記の土地

毎日新聞にこのような記事がでました。
「所有者不明化 増える土地の相続未登記」
http://mainichi.jp/articles/20160609/org/00m/010/064000c

地方は特に
土地との関与が薄れているし、
土地がなりわいになりづらくなっているため
使用していたり、早く手放したいということでもない限り
未登記のまま、そのまま放置することになってしまいそうです。

他の相続人の財産権の保護という観点と
相反することもあるため、
なかなか解決の難しい問題ですね。

財産の独り占め

相続のときに、相続人のひとりが、
亡くなったかたの生前に、
財産を独り占めしていたときは
どうしますか?

相続人のひとりが亡くなったかたの財産を生前に
独り占めした場合、
厳密には、勝手に使い込んだ場合は、
亡くなったかたのものを理由も、
承諾もなく使ったということになるので
他の相続人には、不当利得返還請求権が成り立ちます。

ここで注意することは、相続のときに相続財産を計算するにあたって
使い込んだ財産を相続財産として組み入れる効果はあるのですが、
遺産分割の協議をする上の分配方法の決定ではないということです。

そうはいっても、ここがクリアされない限り、
まともに遺産分割協議なんて、できそうもないですね。。

使った相続人とほかの相続人主張の例をまとめるとは

・返還を要求する相続人
 父(母)の断りもなく勝手にお金を引き出した

・使った相続人
 父(母)と同行した、承諾を得た
 父(母)に依頼された、必要経費だった
 父(母)からもらった(贈与)

・返還を要求する相続人の反論
 父(母)が管理していなかった
 生活状況から不当に多く引き出した、経費でない
 出金や振込依頼書が父(母)の筆跡でない
 父(母)に財産管理能力がない(認知症が進んでいた)

難しいのは、使い込む相続人は同居の親族であるため
財産の管理がどうであったかなどの実態がつかみづらいということ。

これらをお互いに立証していくためには、
たくさんの証拠が必要になっていきます。

同意書につけた印鑑証明書は原本還付できない

登記申請する際に、添付した印鑑証明書は、原本還付できませんが、
遺産分割協議書に添付した印鑑証明書は原本還付できます。
(不動産登記規則55条、不動産登記令16条2項)

でも、遺産分割協議を未成年者に変わって
親権者がする場合、(未成年者が代襲相続人等など)
遺産分割協議書と添付する親権者の印鑑証明書は
親権者の同意書に添付した印鑑証明書に相当するため、
原本還付できなくなります。
(同規則55条、令19条2項)

ちなみに代襲相続人である未成年者が2名以上の場合は
2名以上の代理権の行使は、利益相反にあたるため、
特別代理人の選任が必要になるので、
相続人である未成年者が1名で、親権者が相続人でない場合という
限定されたときにしか起こらないのですね。

遺品整理

さだまさしさんの小説や映画、
「アントキノイノチ」で
題材にされたましたね。

遺品整理のはなしをします。

遺品整理の業者って、トラブルが多いようですね。
(参考 朝日新聞 http://digital.asahi.com/articles/ASJ3K3CB1J3KTIPE007.html?rm=1144

相続の手続きもトラブルをなるべく防ぐために
司法書士等に依頼していただいていると思いますが、
遺品整理業も、特に財産と廃棄物との間を扱うので、
慎重に選びたいですよね

分数の掛け算、割り算

今日は、分数の掛け算と割り算のはなしをします。

1/2 X 1/3 = ?
1/2 ÷ 1/3 = ?

小学校で習いましたよね?

掛け算では分母と分子をかけ、
割り算では、分母と分子をハシゴにかけます。

理系が得意でないかぎり
分数の掛け算、割り算の本質?というか
なぜその計算方法になるのかが
よくわかりませんよね??

さらに、この分数の計算
生きていく上で
ほとんど使わない知識ですし、
約に立たない知識の
代表例です。

でも、相続の計算では
バッチリこれを使うのです。

配偶者は、1/2
子供は、1/2 X 1/○

兄弟なら、1/4 X 1/○

小学生には
相続のとき使うんだよと
教えてあげましょう(笑)

お墓の登記

仏具店とは全く違ったスタンスでの
お墓のはなしをします。

地方の司法書士で、
相続手続きをしていれば、必ずといいほど
ぶち当たることでしょう。

お墓の土地は、さまざまの名義で
登記されているようです。

お寺の名義になっていればそれほど問題にはなりませんが
表題部の共有であったり、
地区の代表者(総代)の名義であったりします。

相続手続きをするには、
相続人だけでなく、
地区の名義人についても調査し、
不在の場合は、裁判所に不在者管理人を選任してもらったり
時効取得を主張したり
判決によって所有権を主張したりと
さまざまな資料、証拠が必要になってしまいます。

よって、、、放置されやすい。。

そもそも、お墓は、祭祀財産といって
民法897条で定められている通り、
単純な相続手続きによらず、
慣習に従うとされているので、
遺贈や贈与になる場合があります。

とても複雑なんですね。

なぜ相続登記が必要なのか

相続の手続きって
結構長い時間、放置できますよね?

今日は、なぜそもそも相続登記が必要なのかのはなしをします。

相続の手続きって
結構長い時間、放置できますよね?

相続登記が必要になるときは、
ひとつでも処分したい遺産がある場合です。
相続人が下記のことがしたいとなった場合、
例えば、

1.住んでいない土地建物を売りたい
前提として相続登記が必要になります。
地目が農地だった場合には農業委員会の
転用許可も必要になったりします。

2.使っていない農地を貸したい
前提として相続登記後、農業委員会に相続の届出も必要です。
その後農業委員会の許可が必要になったりします。
誰にでも貸すことができるというわけではありません。

3.農地を宅地に転用したい
相続登記も必要ですし、都道府県知事の転用許可と
その転用の登記も必要です。

4.他の相続人に継がせたい
継がせたい相続人のための遺言書があればいいのですが、
それ以外では、遺産分割協議を成立させ、
その後相続登記が必要です。
また、上記1から3をする前提として
ある一定の相続人に継がせておくことが必要な場合もあります。
(共有地のままだと権利関係が複雑になるため)

相続手続や遺産分割協議書の作成は、司法書士で可能ですが、
転用の登記などは、土地家屋調査士、
売るには不動産業者
税金の問題が絡んできたときは、
税理士に相談する必要があるかもしれません。

どちらにしても、遺産の処分には
相続手続が必要となるわけですね。

家附の継子

今日は、良く出てくる?相続のはなしのうち、
こんな相続が‥というはなしをします。

「家附の継子」
いえつきのけいし
といいます。

現在の新民法が施行される前の
日本国憲法施行したの
昭和22年当時に
旧民法の応急措置法というものがあったのですが、

1 その応急措置法施行時に被相続人(亡くなった方)が戸主

2 被相続人が入夫か養子縁組で他の家から戸主となっていた

3 妻に嫡出子か庶子(つまり被相続人の継子)がいる

このすべてがあてはまる場合は、現在の民法施行後に亡くなっても
その継子は嫡出子として同じ相続権があります。
(民法 昭和22年附則26条)

新民法の下で相続が発生したのに
継子に相続権があるとは、
なんとも不思議な制度ですね。

どうやら、当時の継子の相続権の期待権を
保護することが目的だったようです。

こういう、相続があると、
かなり戸惑うかもしれませんね。

北陸に

北陸に行ってきました。

移動時間が行きは長かったので、
「遺言執行者の実務」という日司連の本を
読んできいました。

遺言執行者とは、
遺産を相続人に代わって
名義変更をするなど
「遺言の内容を実現する」
(同書籍 116ページ 「3 遺言の執行」参照)
人のことです。

遺言執行者は、裁判所への申し立てによる審判と
(家事事件手続法209条 別表第一104)
遺言書による選任があります。
(民法1006条)

旅行中の移動は、時間があるので
集中して本が読める環境ですね。

旧民法の相続

旧民法の相続を考える中に
現在にはないのですが、
2つの親子関係がありました。

ひとつは、「嫡母庶子関係」(ちゃくぼしょしかんけい)

もうひとつは、「継親子関係」(けいしんしかんけい)
です。

嫡母庶子関係というのは字のごとく、
親子関係のうち、親は母(嫡母=正妻)のみ
子は、非嫡出子(母の血縁上の子でない)で、
家を同じくするときの関係です。
(旧民法728条)

家を同じくするというのは、1人の戸主を中心とした
同じ「戸籍」に記録されることですね。
(旧民法の家の機能としては、戸主の支配権、姓の統一など)

継親子関係とは、配偶者の子であって、
子にとっては実の親でない者とその子が
家を同じくするときの関係です。
子は、嫡出子でも非嫡出子でもよく、
親は、実親だけでなく、養親や継親でも成立します。

これらの親子関係は、相続の対象とされました。

家制度をよくあらわしている
関係といえますね。

しかしながら、現在の民法となる前の
昭和22年に
「日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律」
施行により廃止されました。
おそらく、憲法24条に反すると考えられたからだと思います。

よって現在は
嫡母庶子関係も
継親子関係も単なる
「直系姻族1親等」
です。

なので、相続権はありません。