Web開示による計算書類等の提供制度

恒久的な改定ではないようです。

今日は,貸借対照表と損益計算書がWebでの開示により,株主に提供されたとみなされるよう,時限的にできるようになったことについて,話をします。

先日の会社法施行規則と会社計算規則の一部改正で,Webで開示して提供できるもののうち,定時株主総会の前に提供されるべき,事業報告と計算書類(貸借対照表と損益計算書)と事業報告書の一部が対象になりました。
(法務省:「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」)

今までは,貸借対照表と損益計算書が対象ではなかったのですが,(法務省:株主総会資料のウェブ開示によるみなし提供制度について)これらが対象となったわけです。

ただし,定款の定めが必要なことと,令和5年2月28日までに招集の手続が開始される定時株主総会に限り可能になります。

家事調停のオンライン化

家事調停のオンライン試験が公開されたようです。
朝日新聞:離婚や相続のトラブル解決の「家事調停」、ウェブ会議でオンライン化
NHK:「家事調停」で試験的にウェブ会議導入 利便性向上などに期待

東京家庭裁判所,大阪家庭裁判所 ,名古屋家庭裁判所,福岡家庭裁判所 の4家庭裁判所で今月中旬からオンラインで家事調停ができるようになるようです。

家事調停事件の場合,管轄の合意が可能なので(家事事件手続法245条),住所が管轄外であっても,双方で上記4家庭裁判所に管轄の合意できれば,オンラインで家事調停できるようになります。

離婚の調停等は,DV被害者が調停に出席しなければならない場合も多いため,オンラインで調停ができるようになれば,かなり意義があることだと思います。

多様性に基づくカップルの契約

多様性のある社会をめざした,カップルのありかたの一助となりますでしょうか。

今日は,結婚以外の婚姻についての話をします。
理由があって民法上の結婚ができないカップルも一定数おられるかと思います。せっかく家族を形成しようといても,様々なハードルがあります。そこでそのようなカップルに提案できる契約やカタチを挙げます。

1.公正証書による合意契約
 法律上の婚姻も,契約の意味合いがありますが,これに変わる契約をするということになります。基本型は日本公証人連合会が出している「パートナーシップ合意契約公正証書」があります。

2.パートナーシップ証明
 自治体にパートナーシップの証明を出してもらい,パートナーであることを公に証明してもらうものです。前述のブロクで記載しましたが,全国で100以上の自治体で可能となっています。残念ながら長野県では,松本市のみです。
(当ブログ:同性婚の外国人パートナーに在留資格

3.任意後見契約
 お互いに(双方で)任意後見契約をすることによって,どちらかが財産の管理等が自身で,できなくなった場合に,パートナーが法律上管理できるようにするための契約です。また,病院での同意等,法律上の家族でなければできないことが,できるようになる場合もあります。(病院等の相手側に理解があった場合)

4.遺言書(遺贈や包括遺贈)
 相続ほど税務上の保護がないのが難点ですが,財産の相続(遺贈)を法律上の家族にさせず,パートナーにさせることが可能です。包括遺贈(一切合切ひっくるめた相続のこと)をすることにしておけば,ほぼ相続と同じ効果が発生します。(民法990条)

今後,法律が多様な社会をもっと理解されるように変わっていくことを望みます。

判例の誤字

一番,気になった誤字は,「大臣」→「大巨」でした。

最高裁判所のホームページでは,主要な判例を検索することができます。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1

今日は,最高裁判所のホームページにある判例の誤字について話題にします。

最近,日刊スポーツの記事で,誤字が多いという記事がありました。
(日刊スポーツ:「法務大巨」「検祭官」「弁護入」裁判所HPの判例データに多数の誤字脱字)

理由は,元々は判決書をスキャンしてPDF化し,OCRにしたため,誤字になったと思われます。

やはり一番気になったのが,「法務大巨」。人でもよく間違えることがあります。私たちは,似たような字でも,学生時代や日々の漢字の学習によって,意味を考え,理解して間違えなくなっていきます。

OCRの世界でも,ビッグデータや機械学習,ディープラーニングによって誤字がなくなっていくのでしょうか。そうなった場合の知識や経験を売り物にしている我々の存在意義はどうなるのでしょうかね。

「井溝」と「用悪水路」の違いがわからない

井溝の「井」は,「い」ではなく,「せい」とよみます。

相続登記の作業をしていると,登記の地目に「用悪水路」や「井溝」がときどき出てきます。

両方とも,水路のようですが,定義を確認してみると,「用悪水路」は,「かんがい用又は悪水はいせつ用の水路」,「井溝」は,「田畝又は村落の間にある通水路」となっています。(不動産登記事務取扱手続準則68条16号,19号)

定義を見ると,かんがい用の水路であれば,「用悪水路」,その他の水路は,「井溝」となるようです。同じ村にいないものが,水の行き先を確認して,用途がわかるのか,そもそも水路の先がなにかわかるのかという疑問が生じるところですが,今度機会があれば,実地で見てみたいところです。

登記情報提供サービスの料金改定

また,登記情報の価格が改定されるようですね。

平成28年9月までは,全部事項(不動産・商業法人)情報で337円
平成28年10月 令和元年9月までは,335円
令和元年10月から現在まで,334円
本年10月から332円となるようです。
(参照:https://www1.touki.or.jp/news/details/info21_007.html)

年々,価格が低下しています。指定法人の経営は,大丈夫なのでしょうか。

取締役全員不在の場合

株式会社の取締役1名が亡くなり,他に取締役がいない場合,どうやって選任すればいいのでしょうか。

今日は,取締役不在の場合の選任方法を説明します。

取締役不在の場合に問題になるのは,株主総会の招集通知を発することできなくなるため,株主総会が開けなくなることです。

登記上の取締役や代表取締役が亡くなっているため,印鑑証明等が使えなくなり,取引できなくなるおそれがあります。

この場合,以下の方法が考えられます。

1.株主総会を株主全員の同意で開催する
(招集通知の省略 会社法300条)
2.仮代表取締役の選任
(裁判所による選任 仮取締役 会社法346条,仮代表取締役 同法351条)

司法書士が今までと全く違う経営者や相続人が取締役などに就任される場合には,株主全員の構成と全員の同意を確認させていただくことになります。株主が法人の場合には,その法人の代表者に確認させていただくようになります。

領収書から電子的な受取証書の請求も可能

紙の領収書だけでなく、電子的な受取証書を請求できることになります。

いままでは、弁済者(債務者)は、領収書の発行を要求することができました。
9月1日からは、電子での受取証書の要求ができるようになります。

(民法486条2項)弁済をする者は、前項の受取証書の交付に代えて、その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。ただし、弁済を受領する者に不相当な負担を課するものであるときは、この限りでない

書面か、電子かは、弁済者のほうが選択できるようになるようです。
【法務省:電子的な受取証書(新設された民法第486条第2項関係)についてのQ&A 参照】

会計参与の制度をもっと使いましょう

株式会社に「会計参与」という任意の制度があります。

今日は、会計参与のはなしをします。

会計参与は、株式会社において、取締役と共同して計算書類等(貸借対照表や損益計算書など)を作成する職務を行い(会社法374条1項)、株主・債権者にその計算書類等の備置と開示義務を負います。(会社法378条1項、2項)

また、会計参与は、中小企業で選任されることが想定されており【法制審議会会社法(現代化関係)部会第23回会議(平成16年6月2日開催) 議事録参照】、その資格は、公認会計士又は、税理士でなくてはなりません。

「第6回 税理士実態調査報告書」(税理士でないと見ることができないため内容省略)では、税理士のうち、会計参与に就任しているのは、2.0%にすぎないそうです。

あまり利用されていない会計参与の制度ではありますが、建設業の経営審査や会社の信用にもつながるため、今後の制度改正も含めた利用に期待したいところです。

公証制度にかかる電子化

電子化は、これからのようです。

今日は、公正証書作成の電子化のはなしをします。
公正証書は、公証人役場で費用を払って作成してもらいますが、法律上公正証書が要件となっていたり(例 株式会社の定款、事業用借地権契約書)、より公正証書のほうが、安全性が保てる書類等(例 公正証書遺言)があります。

これら公正証書の作成は、通常公証人と対面により、本人性と内容を確認しますが、近年、定款の作成など、テレビ電話によってできるようになりました。

公証事務嘱託
請求手続き
嘱託人と公証人の対面の有無交付手続き手数料納付
公正証書の作成対面対面書面交付原則対面
定款・私署証書の認証オンライン可
(事前に電話・ファックスの連絡必要)
原則対面
(一定の場合テレビ電話可)
(その場で電子媒体で手交可)
電子送信
ネットバンク可
日付情報の付与オンライン可
(事前に電話・ファックスの連絡必要)
なし電子送信原則対面
公証事務のオンライン/対面の別
【出典:内閣府 第14回 投資等ワーキング・グループ
  公証制度における対面手続のオンライン化(新経済連盟提出資料)

今後、本人の意思確認や、民事訴訟手続との連携が課題となっているようですが、電子化がもっと進んでいくようです。