令和4年度税制改正大綱の中で相続登記の免税措置の変更

今日は,令和4年度税制改正大綱のうち,相続登記の免税措置について書きます。

同税制改正大綱で,相続登記に関する部分をみると,


 相続に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について,
 ① 適用対象となる土地の範囲に,市街化区域内に所在する土地を加える
 ② 適用対象となる土地の価額の上限を 100 万円(現行:10 万円)に引き上げる
 これらの措置を講じた上で,その適用期限を3年延長する。

とのことです。
(参考:「令和4年度税制改正大綱」令和3年12月10日・自 由 民 主 党・公 明 党

インパクトが多少あるかもしれません。

相続放棄した場合でも,相続財産の保存(管理)をしなければならない場合がある

令和2年4月の民法改正で,相続放棄してどなたが相続されるかわからない相続財産の,とりあえずの管理者について,明確に規定されています。

相続放棄したかたでも,占有をしている相続財産について,他の相続人や相続財産管理人が管理を始めるまでは,管理をしなければならないことになりました。(民法940条)

例えば,森林のような土地や不要な家屋を相続放棄した場合でも,占有者は費用を出して,とりあえずの管理をしなければならないことになります。

これは,管理が煩わしい故に,あえて相続放棄を選択しても,占有者,つまり相続人から管理を任されたり,流れで管理している場合には,管理を簡単に放棄できないということになります。相続放棄をする際には注意が必要です。

生命保険契約照会制度

故人の生命保険も調査できるようです。

今日は,生命保険契約照会制度のはなしをします。

生命保険の契約者や被保険者が亡くなったり,意思能力が低下したりした場合に,法定代理人や親族がその生命保険を生命保険協会の加盟の数社に渡って,その契約の有無等を照会できる制度です。
(出典:生命保険契約照会制度の創設(2021年7月1日開始)~確実な保険金請求のためのセーフティネット~

弁護士,司法書士であれば,任意代理でも可能なようですので,死後の財産管理や相続財産の調査もできるようになるかと思います。

預貯金を探したりするのは,心当たりのありそうな,すべての銀行,信用金庫,農協などに照会しなければならず大変な思いをするわけですが,生命保険以外の預貯金や有価証券,保険にもそういった制度が拡大していくことを願います。

送り付け商法対策

特定商取引法の一部が改正されて、「売買契約に基づかないで送付された商品」(いわゆる、送り付け商法、ネガティブオプションともいう)の対策といて、すぐにその商品が処分できることになりました。

いままでは、一方的に商品を送りつけてくる、送り付け商法について、その商品を14日の保管しなければなりませんでしたが、6月7日施行分からすぐに処分できることになりました。(特定商取引法第59条と第59条の2)

送り付け商法は、こんな例があるようです。
 マスク
 健康食品
 魚介類

国民生活センターでもが記載されています。(国民生活センター:健康食品や魚介類の送りつけ商法

基本的には、代金を支払う必要はありません。特定商取引法により、消費者が自由に処分してよいことになっています。
 

相続登記のあとに不動産業者からDMが来るらしい

相続登記を行った、司法書士が知らせているわけではありません!

相続登記後にDMが来ることについて説明します。
相続登記後、不動産業者から売って欲しいという、かなりのDMが相続人のもとに来る場合があります。
(出典:京都新聞「なぜ?土地相続した途端に不動産会社から大量DM 情報つかむカラクリとは」)

DMがなぜ送られてきて、どのように相続人の存在を調査したのが疑問になりますが、司法書士が不動産業者に教えているということは、絶対にないです。司法書士は法律上、仕事に対する守秘義務が課せられているからです。

では、どのように入手しているかというと、ダイヤモンド不動産研究所に興味深い記事がありました。情報を入手している業者は、行政(法務局)に対する情報開示請求を利用しているようです。
(参考:ダイヤモンド不動産研究所「不動産を相続すると、なぜ電話やDMが来るの?」)

情報開示請求によれば、かなり安価に入手できるので、司法書士等から無理やり聞き出す必要もないようです。会社設立の登記でも同様にDMが送られてきているようですが、司法書士が教えているという誤解がないようにお願いいたします。

自筆の遺言(自筆証書遺言)の保管制度

法務局への予約が殺到しているようです。

今日は、自筆の遺言の保管制度の話をします。

昨年の7月から自筆の遺言を法務局に保管する制度が始まっています。
遺言には、自筆と公正証書と大きく分けて2つがありますが、自筆の遺言では、被相続人の死後、証拠保全のため、家庭裁判所の検認の手続きが必要となります。

しかしながら、保管制度のメリットとして、自筆の遺言を法務局に保管することによって、検認が不要です。

また、自筆の遺言は、相続人に発見されなかったり、改ざんされたりする場合もあるため、保管制度を利用することによって、管理上のトラブルを防ぐことができます。

令和3年3月までの利用状況は、16,721件だそうです。
法務省資料:自筆証書遺言書保管制度の関連資料・リンク集

遺言書の有効・無効は、実質審査されませんが、遺言書を金庫に入れておくよりは、より確実な制度と言えそうです。

相続登記義務化のニュース

司法書士業界のみならず、インパクトの強いはなしです。

今日は、相続登記義務化の法案が4月21日に参議院で可決成立してのを受けた、ニュースについて集めてみました。

日本経済新聞 「相続登記の義務化、24年めど 所有者不明土地法が成立
毎日新聞 【土地の相続登記、義務化 「所有者不明」防ぐ 改正法成立
讀賣新聞 「不明土地対策 改正法成立…23年度にも施行 相続登記を義務化
中日新聞 【相続登記「センターへ相談を」 義務化受け県司法書士会
西日本新聞 「土地の相続登記を義務化
アットプレス 【-「相続登記の義務化」を含む3つの法律案が成立-  民法・不動産登記法等を改正する法律案の成立に伴う 会長声明を発表
マイナビニュース「相続登記の義務化と手続きの簡略化で所有者不明土地の問題解決へ。放置物件の有効利用は進むか?

論調は、さまざまですが、所有者不明の不動産対策と言えそうです。

急に良く知らない親族の財産を相続したとき

いきなり、親交のない親族の財産を相続して、遺産分割協議を求められたら、どうしますか?

今日は、親交がなかったり、良く知らない親族の財産の遺産分割協議を求められた場合について、話をします。

親交のない親族の相続とは、以下のパターンが例としてあります。
1.父母の兄弟(特に片方の親が違ういわゆる半血兄弟等)の兄弟姉妹の相続の代襲相続人として相続
2.父母の再婚前後の子どおし(いわゆる半血兄弟)の相続

これらの場合で、亡くなった方が遺言書を書かなかった場合、相続人として親交のない親族(おい、めい等)も遺産分割協議に関与することになります。

そこで困るのが、対応です。慎重に対応しなければならない理由があります。
1.遺産をすべて把握できているか
 例えば、遺産分割協議が必要で、連絡してきている親族が、すべての財産を開示してきているのか、また調べきれているのか否か
2.負の遺産があるのか否か
 たとえ遺産分割協議しても、負の遺産(借金等)は、特定の相続人が相続させるといったことは簡単はできません。一般的に債権者の承諾が必要です。

そういったときには、あまり関わりたくないということで、相続放棄をされるかたも多いです。

親交がなかった親族と遺産分割協議をする場合は、慎重に検討したほうがいいと思われます。

遺言書を書く勇気

本日は、遺言書が必要な場合の話をします。

遺言書を書いておこうという、意思をすでにお持ちの方は、特にアドバイスすることではないのですが、遺言書を書いたことがない方にしてみれば、準備しておこうという気には、なかなかなれないものです。

それでも、遺言書が必要な場面というのが、いくつか生じる場合があります。

遺言書が必要なパターンは、以下の通りです。

1.相続人の中に行方不明の方がいる場合
2.相続人の中に海外へ移住されている方がいる場合
3.相続人の数が多い場合、特に兄弟姉妹の相続
4.財産について、すでに争っている場合

このような場合には、実務やってきた中では、遺言書を作らなかったため、後で手続きが行き詰まったということが発生しています。

後世のためにも、当てはまる方は、是非作ることを検討してみてください。

続•相続登記の義務化?!

相続登記の義務化が検討されているようです。

https://this.kiji.is/729212854903160832 出展 共同通信社

罰則も検討されています。

罰則の内容は、3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料だそうです。

この基準を取締役の登記のように当てはめると、3年過ぎた後に登記した場合、過料制裁の通知が裁判所から来るようになるかもしれません。

実際、相続登記は、遺産分割協議の後に行われることが圧倒的に多いため、3年という期間の間に全ての相続人で合意できればいいのですが、合意できなかった場合、法定相続登記をすることになりそうです。

しかしながら、法定相続登記をした場合、さらに遺産分割による登記をいずれする必要があったり、法定相続の割合で登記したままにしておくと、処分しづらかったりするため、色々と不都合が出てきそうです。

今後どのようなに制度化するのかが、非常に気になるところです。