ブログ(業務日誌)

令和5年度の休眠会社の整理

今年も始まったようです。

毎年法務省は,株式会社と一般社団法人,一般財団法人を対象に一定期間登記をしていない会社・法人にについて,通知や官報に公告を行って,届出のない場合にはみなし解散の登記をする手続きしています。

今年も上記の通知が発送されたようです。長期間役員の変更登記等をしていない株式会社などは,放置しているとみなし解散の登記をされてしまうので,注意が必要です。
(参考:法務省「令和5年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」)

また,登記の長期の放置は,法律上過料制裁の対象となりますので,その点をご注意ください。(会社法第976条第1号,一般社団法人及び一般財団法人法第342条第1号)

ステマは,景品表示法違反

インターネットの世界ではステマが多いようです。

今日は,ステマ禁止の話をします。

不当景品類及び不当表示防止法第5条第3項の内閣総理大臣の指定により,令和5年3月28日内閣府告示第19号によって,「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」,いわゆる「ステルスマーケティング」が10/1から禁止されました。
(参考:消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」)

事業者による広告なのか,個人の感想なのかがわからない状態によるサービスの説明には注意が必要かと思います。また,広告なのに広告であることを隠して,公に表示や誘引することだけでなく,企業自身が影響力のある第三者に,広告とわからない状態でこれらの表示や誘引を指示することも禁止に含まれます。
(参考:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)

宣伝は宣伝とわかるようにしてもらいたいものです。

所有者不明・土地建物管理制度と,管理不全・土地建物管理制度

管理などに障害のある不動産について,公的に管理する制度が4つあります。2つは前から存在する「不在者財産管理人」や「相続財産清算人」(旧相続財産管理人)によるものです。

あとの2つは,今年度から導入されたものとして,「所有者不明・土地建物管理制度」と「管理不全・土地建物管理制度」があります。

制度を紹介すると,

「不在者財産管理人」
従来の住所又は居所を去るなどして容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産の管理人がいない場合に,家庭裁判所が申立てによって,不在者財産管理人を選任します。(参考:最高裁判所「不在者財産管理人選任」)
管理範囲は「1人」単位の全財産となります。

「相続財産清算人」
相続人の存在,不存在が明らかでないときに,家庭裁判所が申立てによって,相続財産の清算人を選任します。(参考:最高裁判所「相続財産清算人の選任」)
管理範囲は「1人」単位の全財産となります。

「所有者不明・土地建物管理制度」
調査をしても所有者やその所在を知ることができない土地・建物については,利害関係人の「地方裁判所」への申立てにより,その土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができます。(参考:法務省「所有者不明土地の解消に向けて、不動産に関するルールが大きく変わります。」)
管理範囲は対象不動産単位(共有であっても可)となります。

「管理不全・土地建物管理制度」
所有者による管理が不適当(例 ひび割れ・破損が生じている擁壁,ゴミの放置・害虫の発生)である土地・建物については,利害関係人の「地方裁判所」への申立てにより,その土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらうことができます。
管理範囲は対象不動産のみとなります。

このように,事案に応じて管理人を家庭裁判所または地方裁判所に管理人を選任してもらうことになりますが,今年度導入された2つは不動産の管理の障害の対応に特化した制度となっています。

タンス預金もバレるそうです

キーワードは,「KSKシステム」,「過去10年間」,「税務調査」です。

「国税総合管理(KSK)システム」というものがあるらしく,一応,財務省で公表されています。(財務省:「国税総合管理(KSK)システムの概要」)

うわさによると,税務署は,同システムを使って過去の申告データを調べて,収入が多かったり,不動産所得のある等の相続人に対して,相続税の申告案内を出しているようで,タンス預金もある程度,狙われているようです。

したがって,税の申告は適正にお願いいたします。

不要な山林の処分

山林の処分は,難しいようです。

今日は,不要な山林の処分は難しいという話をします。

幻冬舎ゴールドオンラインにこんな記事がありました。

幻冬舎ゴールドオンライン:「相続財産に“田舎の山林”!? もらっても困る…「いらない不動産」を手放す方法3選【司法書士が解説】

3選とありますが,実際には4つ書かれています。

1.相続土地国庫帰属制度
2.相続放棄
3.共有物の放棄
4.業者による引き取りサービス

1つ1つ検討していくと,

「相続土地国庫帰属制度」
過去のブログ「不要な土地の放棄の問い合わせ増加」にも書きましたが,要件が厳しい制度です。

「相続放棄」
最も費用がかからず,有効な制度ですが,相続を知ってから3か月以内でないとできないことや,他の故人の財産と一緒にすべて放棄しなければいけないのが難点です。また,相続人全員が相続放棄した場合,相続財産清算人が選任できるまでは,管理責任が戻ってくる可能もあります。

「共有物の放棄」
なぜ,これが記事に書かれているのかは疑問ですが,共有者が存在し,共有者が引き取ってくれなければ,利用できない制度です。

「業者による引き取りサービス」
最も簡単に選べるサービスですが,それなりの費用や,ある程度の管理費用がかかることや,適正な業者を探すことが難しいです。業者の選定を間違えると被害にあったり,他人に被害を与えてたり,かえって状況をこじらせることがあります。

例えば,上記の引取りサービスの業者の中には,ダミーの株式会社等に土地を買い取りさせ,そのダミー会社を清算させないまま放置し,実際には土地を全く管理せず,公的機関も管理できない状態としてしまう業者があるため,このような業者に買い取りされた場合には,あとで大きな問題となるおそれがあります。
(参考:奈良国道事務所 用地第二課「解散又は活動実態がない会社名義の土地を取得する方法についての考察」)

山林を放棄するには,専門家に相談するなどして,長期的視点から計画して実行したほうが良さそうです。

土地の国有化制度と悪徳商法

国有化の希望は増加していますが,悪徳商法への懸念があります。

相続土地の国庫帰属制度の申請の受付が4月から開始されているようですが,法務局への相談が相次いでいるようです。

国庫帰属制度は,固定資産税や管理等の負担を減らすには有効ですが,この制度の利用には厳格な要件があるため,今後悪徳商法の被害が増加する懸念があります。
(参考:読売新聞「土地を相続したけど使い道ない…「国有化」相談殺到、「所有者不明」防ぐ制度」)

例えば,原野が値上がりすることを謳ったり,放棄に多額の手数料が必要となったり,知らないうちに別の土地も買わさらたりする可能性も出てきます。

新たに被害が出ないよう,まず,土地の国有化制度は,要件が厳密であることを知っておく必要があるかと思います。
(要件例は,過去のブログを御覧ください。「不要な土地の放棄の問い合わせ増加」)

夏休みとお盆中のネットショッピングは注意

お盆とは,仏教の「盂蘭盆会」(うらぼんえ)から来ている言葉のようです。

このお盆中は,先祖供養や先祖を迎える期間とされており(参照:浄土宗「盂蘭盆会」,東本願寺「盂蘭盆会【うらぼんえ】」等),期間は地域によって差はあるものの,8月13日から8月16日とされていているようです。

この時期は,地方に人が動いたり,たくさんのかたが休みを取るため,宿泊業界や旅行業界は盛んのようです。

その分通販サイト等は,発送が遅れたり(例:郵便局「お盆期間中における郵便物・ゆうパックなどのお届け遅延に関するお知らせ」),管理が遅くなったりします。

偽サイトの対応が遅くなると考えられますので,注意が必要です。

印鑑証明書等のマイナンバーカードを利用した証明書の不具合

他人の証明書が発行された事例があるようです。
(参考 piyolog:「富士通JapanのMICJETで相次ぎ発生した証明書誤交付についてまとめてみた」)

8地方自治体で住民情報ソリューション「MICJET」という富士通社のスキームが起因しての不具合のようです。

高負荷,同時処理,修正漏れ等が不具合の原因にあげられているようです。

コンビニ交付の戸籍謄本,住民票,印鑑証明書を持ってきていただくかたもかなり増えてきました。発行に関わる手数料が安いことも要因かと思います。マイナンバーカードに関するトラブルが早く解消されることを望みます。

官報による決算公告は,わずか1.8%

株式会社で「官報」での公告を指定してあるうち,決算公告を実際している会社は1.8%にとどまるとのこと。
(参考:東京商工リサーチ「官報で決算公告、株式会社のわずか1.8%」)

非公開会社といってもある程度,債権者や従業員,地域等に社会的責任を果たすため,情報開示されることを望みます。