住宅ローンの金利上昇か

最近,金融緩和が終了し,マイナス金利の解除(3月)や政策金利の0.25%への引き上げ(7月)が行われました。これに伴い,大手銀行において住宅ローンの金利が上昇しています。特に,短期プライムレートの引き上げが大きな要因とされています。
(参考:NHK【「短期プライムレート」引き上げの動き広がる 国内大手銀行で】)

さらに,ネット銀行や地方銀行などの他行も,これに先行して貸付金利を引き上げる動きが見られます。これにより,変動型住宅ローン金利の上昇が予測されており,3メガバンクが17年ぶりに短期プライムレートを引き上げ,年1.625%に達しました。
(参考:読売新聞「変動型住宅ローン金利上昇へ、連動する短プラを3メガ銀が17年ぶりに引き上げ年1・625%に」)

今後の動向については,政治の情勢にも影響される可能性がありますが,貸付金利のさらなる上昇が見込まれています。私たちにとって,これらの変化が住宅購入や資金計画にどのような影響を与えるのか,引き続き注視していく必要があるかと思われます。

株式分割をする会社が増加

上場企業の株式分割によって,株の取引が促進されます。

1株を1万円以下や5千円以下にするなど,投資促進のため,株式分割をする上場企業が増加しているようです。
(参考 NHK:【「株式分割」実施する企業が増加 NISA拡充で個人投資呼び込む】)
7月までに株式分割した上場企業は,139社だそうです。

株式分割とは,資本等を変えないで,基準日に所有している株主の株式を1株あたり数株の割合で増加させることをいいます。(会社法第183条各項)

上場企業が株式分割をする要因としては,株価の高騰により,1株あたりの株価が増加し,本邦の株式市場ですと,ほとんどの会社の単位株式数が100株のため,例として株価が1万円以上の1回の取引で100万円以上になってしまいます。そこで,株式分割により,1株あたりの単価を下げて,1回あたり数十万円程度で取引できるようにしたり,場合によっては,1株あたりの株価を2,000円以下にして,1回の取引を20万円以下にすることで,さらに投資を呼び込もうとしています。
(参考 会社四季報オンライン編集部【2024年8月に基準日を設定して「株式分割」する銘柄一覧】)

ただし,多くの人が当該株式の取引に参入してきた場合には,NISAによる取引の増加要因を含めて,株価の乱高下が激しくなることもありますので,慎重な判断も必要かと思います。

株価が落ちることの一考

日経平均株価が歴代2位の下落率というというニュースがありました。終値ベースで-2,216円だそうです。
(日本経済新聞社「日経平均株価の下落幅とは ブラックマンデー時3836円安」)

おそろしく平均株価が下落したわけですが,理由としては,日本経済新聞社の分析によると,「売りが売りを呼ぶ」プログラム取引の影響だとしています。そのほかに元の売りの発端等を分析すると,理由は様々ですが,特にアメリカの景気後退局面における利下げや,日本銀行の量的緩和政策解消に伴う利上げの要因による株価の調整局面であったというものがあります。
(参考:ロイター「日経平均は大幅続落、円高と米景気減速感で 今年最大の下げ」)

本年の新NISAに伴う投資の需要の増加により,多額の資金が投資信託マーケットに流入により,今までは株価を押し上げていたのかもしれませんが,今回の下落傾向は,NISAを利用されている方にもかなりの心理的な影響を与えます。
(参考:野村総合研究所「新NISAが投信マーケットに与えた影響をビジュアル化してみた
(参考:日本経済新聞社「海外株投信の資金流入最高 1〜6月、新NISA開始で」)

今回の株価下落で短期的には痛い目をみるかたもおられるでしょうが,投資先は慎重に検討を促すよい機会になればと思います。

ブロックチェーン上の消せないデータ

消せないということは,ブロックチェーン技術が存在している限り,もっと懸念されるのは,人類が存在している限り,消えることがないデータが存在することになりかねません。

今日は,ブロックチェーンでデータが残せる技術についてはなしをします。

ブロックチェーンは,電子上の価値や暗号通貨(ビットコイン等)の取引履歴等の記録を
1.分散して記録し(中央コンピュータに記録を依存しない)
2.消去,改ざんが困難にする
といった特性があります。

この分散記録の技術は,本邦ではウィニーというソフト等で,ソフトウェアの配信を目的として,過去に似たような技術が使われていましたが,ブロックチェーンでは,その技術が進化させ,データの改ざんを困難にすることにより,主な目的として,暗号通貨の運営に利用されてします。

また,最近ではブロックチェーンの技術を使って,古いコンピュータやコンシューマゲーム機(スーパーファミコン等)のソフトの記録等に応用することもできるようなったようです。
(参考:コインテレグラフジャパン「ビットコインブロックチェーンでスーパーファミコンのゲームを記録 プレイも可能に」)

古いゲームソフトの記録には,著作権等の問題もありますが,保存するのに改ざん等がなく最適な分,世間から簡単に消せなくなるといった問題が生じることになります。

この「消せなくなる」という懸念は,すでに児童の保護といった分野で問題が顕在化しているようです。
(出典:栗原潔 氏 弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授「究極の迷惑行為?:ブロックチェーン上に消せない児童ポルノ」)

中央集中型のデータベースであれば,管理者が消去するといった対応が可能ですが,ブロックチェーン技術は,今後,確実に消すことができるよう課題を解決しなければ,脅迫や詐欺の温床になることや著作権違反等著しい権利の侵害が発生するおそれがあることを忘れてはいけません。

FXや株式等の自動取引の怖さ

FXには,様々な自動取引のサービスが提供されており,便利である一定の財産を時間の経過によって増やしてくれる効果が期待できます。しかしながら,様々なリスクもあるようです。特に以下の2点の懸念事項が考えられます。

1.急激な値動きに耐えられないこと,あらかじめリスクから逃げておく準備がされないこと
 急激に価格が上下した場合には,そのリスクを追わなければならず,手動取引で経験のあるかたなら,イベント時期やニュース等によって,リスクをとって取引を控えようとしますが,自動取引の場合,値動きに合わせて自動で取引してしまいます。
(参考:インヴァスト証券「FXの自動売買とは?メリットやデメリット・初心者向けのコツについて解説」)


また,たくさんの自動取引がかえって急激な市場価格の変動を助長することが確認されています。
(参考:大和ネクスト銀行「ドル円の「フラッシュ・クラッシュ」なぜ、どのような時に起こるのか ?」)

2.手数料が多く発生するようにプログラムされている恐れがある
売買回数が多いほうが,取引業者の利益があがるため,自動取引の場合,投資者と利益相反状態になります。このことから,プログラムの内容によっては,手数料が多くなってしまい,かえって利益を損ねてしまうことがあります。
(参考:上記インヴァスト証券ウェブサイト)

また,あまり損が多額になってしまうと自動取引を中の取引業者が勝手に手動取引にしているケースもあるようです。
(参考:弁護士ドットコム「FX自動売買ソフトで大損、実は人間による「裁量トレード」だった…販売業者らに3000万円賠償命令」)

結局,生成AIやプログラムによる自動取引も人の判断に比べて良し悪しがあると言わざるを得ないと思われます。

アメリカとスイスの銀行の破綻

預金の急激な移動と債券市場の動向が影響しているようです。

今日は,3月に生じている金融の混乱の話をします。

背景が少々難しく,銀行破綻の理由もわかりにくいため,ニュースを参考によく読み解いていく必要があります。。
(NHK:「相次ぐ銀行破綻 アメリカで何が起きている?背景に何が…」)

破綻している銀行は以下のとおりです。
1.シリコンバレーバンク
 アメリカ地銀で2番目の規模の破綻のようです。
2.シグネチャーバンク
 同じくアメリカの地銀です。暗号資産業者への取引が引き金のよう。
3.クレディ・スイス銀行
 スイスの投資銀行で,AT1債(自己資本に組み入れられる劣後債)が無効化されるということで物議を醸し出しました。
4.シルバーゲートキャピタル
 暗号資産業者を中心とする銀行で,同業種の経営難が影響しているようです。


また,次の銀行も懸念が示されています。
・ファースト・リパブリック銀行
 アメリカの地銀で,預金の流出で株価が暴落。
・パックウェスト銀行
 アメリカの地銀で,預金の大量流出が報道されました。

いずれも,預金の流出が発端のようで,預金の流出は,「デジタル・バンクラン」と呼ばれる,SNS等による口コミによるものと,ネットバンキングによる資金移動のしやすさが主な理由のようです。
(参考 ロイター:「コラム:デジタル・バンクランと債券急落、年後半の日本経済に下押し圧力」)

預金の流出により,流動資金を用意するため,銀行が債券を売却しますが,金利(国債利回り等)の上昇による最近の債券市場の価格低下が起きており,債券売却時の評価損が,銀行の財務状況を悪化させているようです。
(参考 東洋経済新報社:「配当不能に?「評価損」で地銀を襲う新たなリスク」)

アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)はそれでも,インフレ対策として,政策金利を上げ続けているため,さらなる金融システムへの混乱が生じないか,心配なところです。
(参考:NHK「FRB 0.25%利上げを決定 インフレを抑えこむ決意打ち出す」)

ステルスマーケティング

ステルスマーケティングは,広告とわからない状態で中立的な一消費者を装って、周囲に宣伝と気付かれないように商品を宣伝する手法をいい,「やらせ」や「さくら」と批判されやすい宣伝手法です。
(参照 日経クロステック:ステルスマーケティング

ステルスマーケティングの宣伝手法は,古くから使われている手法で,社会的に話題になったところでは,オークションに芸能人を利用して広告とわからない状態で宣伝したものなどがありました。

ステルスマーケティングは,手法によっては,不当表示になることもあり,利用した企業の倫理を疑われる危険性があります。

当事務所では,ステルスマーケティングを行うほど,影響力もないので,行っておりませんが,今後司法書士もそのような広告方法は,品位を欠くということを理由に禁止されるかもしれません。

資金洗浄の対策部会で不合格

FATF(金融活動作業部会)で日本が実質、不合格になったらしいです。
(日経新聞:【縦割り行政の限界露呈 資金洗浄の国際審査「不合格」】参照)

FATF(Finacial Action Task Force)は資金洗浄やテロ資金供与を監視している世界的な組織です。同組織は、資金洗浄などを防ぐため、勧告をし、基準を定めています。

日本は、不合格のなかでも、「重点フォローアップ」国に指定されたようです。

会社設立や不動産の譲渡にも、本人確認のほか、資金洗浄に利用されていないか等を確認するため、厳しい要請のされることが予想されるところです。

ESG投資

企業社会は、ESG投資をしなければならなくなってきているようです。

ESG投資の話をします。
ESGとは、「Evironment」「Society」「Governance」、環境配慮、社会への責任、統治機構の充実と3つの角度で投資が求められています。
特に法律を学ぶものとして重要視しているのは、統治機構の充実です。

会社法が施行されてから14年、企業統治のシステムが我が国でも確立されつつあり、
一層会社役員、企業人にも会社のありかたを見つめて研鑽していかなければなりません。

しかしながら、企業の多くは、株式の持ち合い、株主の系統化による内部役員の選出や従業員の非流動性により、身内意識が強くなります。また監査役、会計監査人が受託会社から報酬による利益相反状態等適切な監査が行われないなどの問題を抱え、内部コントロールや外部コントロールを的確に果たせないといったリスクを抱えています。

令和元年の上場企業の社外取締役の平均数は、2.2人、員数の3分の1以上が社外取締役が選任されている会社の割合は、35.7%だそうです。
(出典 東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況・株式会社東京証券取引所)

今後、会社の外部コントロールを充実させるため、社外取締役の選任に投資し、取締役会で今後、社外取締役を中心とした監査機能の充実させることが必要となるでしょう。

2019年を考えて、人口のメカニズムが今後大きな影響を与えるでしょう

土地の値段はどうなっていくのでしょうか。

人口の減少の話しをします。
日本の人口は、減り続け、2040年には、1億1,000万人
2065年には、8,800万人と推定されています。
【出展 国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成29年推計)】
ものすごい減少率です。

全国地価の動向は、平成30年地価公示をみると平成20年を100とみて、平成29年で0.4、平成30年で0.7と0.3の上昇となっています。
長野県は、平成29年で-0.8、平成30年で-0.5とこちらも0.3の上昇となっています。

若干上昇しています。

さて、不動産投資には、人口メカニズムはどう働くのでしょうか。