なぜ教えてくれないのか?住宅ローン完済後の「抵当権抹消」

一般的に会社員の方が住宅を買う場合は、不動産に対して抵当権付きで住宅ローンを組み、長期間の返済を経て完済します。

完済後には、金融機関等から抵当権の抹消手続きの書類を渡される場合が多く、その際に司法書士に依頼するか、自身で法務局に何度も通ったり、法務局のホームページ等で資料を集めたりして抵当権を抹消するよう説明を受けます。

しかしながら、金融機関の担当者が、必ずしも抵当権の抹消の必要性や方法について説明してくれるとは限らないようです。

特に説明を受けられないと思われる理由として、以下のことが考えられます。

  1. 抵当権者が保証会社であり、直接金融機関と関係がないことがある
  2. 抵当権抹消の費用について、難色を示す方が一定数存在する
  3. 「抵当権抹消の登記は簡単」という言説がある一方で、実際にはそうでない場合も多いため、対応や説明に苦慮する
  4. 抵当権抹消の登記について、委任状等の書類に追記が必要な場合が多く、その内容が難しいことが多いため、金融機関側に問い合わせされても責任が持てず、困惑する
  5. 完済により金融機関側の営業行為は基本的に終了しているため、顧客のタイプによっては、詳しい説明を避けたいという意識が働く場合がある
  6. そもそも金融機関から説明を受けたものの、「すぐに抹消手続きをする必要がない」旨を伝えられたため、その手続きを保留してしまい、抹消手続き自体を忘れてしまう

以上のことにより、金融機関が抵当権抹消の手続きについて説明をしていない、または説明はしているが(顧客側が)忘れてしまっている場合があります。

住宅ローンを完済しても、抵当権は勝手には抹消されません。抹消の手続きについて身に覚えがない場合は、今一度、不動産の登記簿謄本を確認されることをお勧めします。

本当の「おめでとう」は完済のとき

住宅や土地を購入した際、不動産業の方や投資目的で購入される方以外であれば、人生で最大級の買い物となるため、決済時には関係者から「おめでとうございます」と声を掛けられることが多いものです。

特に住宅の購入は、勤労者世帯にとって人生における非常に重要なイベントであるため、なおさら、おめでたいイベントであると言えます。

しかしながら、住宅購入には多額の資金が必要となるため、多くの方が住宅ローンを利用されます。
住宅ローンを利用すると、住宅や土地に「抵当権」が設定されることになります。
つまり、金融機関や保証機関の担保が設定されるため、所有権を取得していても、その処分等には制限が伴います。
よって、厳密には「完全な所有権を得たわけではない」という考え方もできるわけです。

最近では、当職と同世代の方や退職を控えられた方を中心に、住宅ローンの完済に伴う抵当権抹消登記のご依頼が増えてきました。
抵当権を抹消すれば、住宅や土地は完全に自分たちのものとなり、自由な処分も可能となります。

住宅ローンの返済は何十年にも及ぶことが多く、完済までの道のりは長く、経済的なやりくりにも大変な思いをされたことでしょう。
だからこそ、完済したときこそが本当の「おめでとうございます」のタイミングだと思います。

なお、完済後の抵当権抹消は、早めに司法書士にご依頼されることをおすすめいたします。

抵当権抹消登記のタイミングと注意点

4月から5月にかけては、3月に完済した住宅ローンに関する抵当権抹消のご依頼が多い時期です。

早めにご依頼いただける場合には問題が生じることは少ないのですが、時間をおいてからいざ抹消登記を行おうとすると、いくつかの障害が生じることがあります。

たとえば、以下のようなケースです。

・金融機関の合併等により、合併の登記が必要となり、費用が増加する
・金融機関の本店所在地や代表者の変更により、調査や添付書類が追加で必要となる
・不動産の所有者の住所変更により、住所変更登記を先行して行う必要が生じ、費用が増加する
・不動産の所有者に相続が発生し、相続登記が必要となる
・抵当権が長期間放置され、金融機関が解散している場合、いわゆる休眠担保の抹消や裁判手続が必要となり、費用が高額となる傾向がある
(参考 公益社団法人全日本不動産協会・出展 弁護士渡辺晋先生の記事「休眠担保権の抹消」)

いずれにしても、登記は放置することで後に手続が複雑化し、不利益が生じる可能性が高くなります。

そのため、住宅ローン完済後は、できるだけ早期に手続を行うとともに、司法書士へご相談いただくことをおすすめいたします。

住宅ローンの金利上昇か

最近,金融緩和が終了し,マイナス金利の解除(3月)や政策金利の0.25%への引き上げ(7月)が行われました。これに伴い,大手銀行において住宅ローンの金利が上昇しています。特に,短期プライムレートの引き上げが大きな要因とされています。
(参考:NHK【「短期プライムレート」引き上げの動き広がる 国内大手銀行で】)

さらに,ネット銀行や地方銀行などの他行も,これに先行して貸付金利を引き上げる動きが見られます。これにより,変動型住宅ローン金利の上昇が予測されており,3メガバンクが17年ぶりに短期プライムレートを引き上げ,年1.625%に達しました。
(参考:読売新聞「変動型住宅ローン金利上昇へ、連動する短プラを3メガ銀が17年ぶりに引き上げ年1・625%に」)

今後の動向については,政治の情勢にも影響される可能性がありますが,貸付金利のさらなる上昇が見込まれています。私たちにとって,これらの変化が住宅購入や資金計画にどのような影響を与えるのか,引き続き注視していく必要があるかと思われます。