領収書から電子的な受取証書の請求も可能

紙の領収書だけでなく、電子的な受取証書を請求できることになります。

いままでは、弁済者(債務者)は、領収書の発行を要求することができました。
9月1日からは、電子での受取証書の要求ができるようになります。

(民法486条2項)弁済をする者は、前項の受取証書の交付に代えて、その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。ただし、弁済を受領する者に不相当な負担を課するものであるときは、この限りでない

書面か、電子かは、弁済者のほうが選択できるようになるようです。
【法務省:電子的な受取証書(新設された民法第486条第2項関係)についてのQ&A 参照】

資金洗浄の対策部会で不合格

FATF(金融活動作業部会)で日本が実質、不合格になったらしいです。
(日経新聞:【縦割り行政の限界露呈 資金洗浄の国際審査「不合格」】参照)

FATF(Finacial Action Task Force)は資金洗浄やテロ資金供与を監視している世界的な組織です。同組織は、資金洗浄などを防ぐため、勧告をし、基準を定めています。

日本は、不合格のなかでも、「重点フォローアップ」国に指定されたようです。

会社設立や不動産の譲渡にも、本人確認のほか、資金洗浄に利用されていないか等を確認するため、厳しい要請のされることが予想されるところです。

送り付け商法対策

特定商取引法の一部が改正されて、「売買契約に基づかないで送付された商品」(いわゆる、送り付け商法、ネガティブオプションともいう)の対策といて、すぐにその商品が処分できることになりました。

いままでは、一方的に商品を送りつけてくる、送り付け商法について、その商品を14日の保管しなければなりませんでしたが、6月7日施行分からすぐに処分できることになりました。(特定商取引法第59条と第59条の2)

送り付け商法は、こんな例があるようです。
 マスク
 健康食品
 魚介類

国民生活センターでもが記載されています。(国民生活センター:健康食品や魚介類の送りつけ商法

基本的には、代金を支払う必要はありません。特定商取引法により、消費者が自由に処分してよいことになっています。
 

相続登記のあとに不動産業者からDMが来るらしい

相続登記を行った、司法書士が知らせているわけではありません!

相続登記後にDMが来ることについて説明します。
相続登記後、不動産業者から売って欲しいという、かなりのDMが相続人のもとに来る場合があります。
(出典:京都新聞「なぜ?土地相続した途端に不動産会社から大量DM 情報つかむカラクリとは」)

DMがなぜ送られてきて、どのように相続人の存在を調査したのが疑問になりますが、司法書士が不動産業者に教えているということは、絶対にないです。司法書士は法律上、仕事に対する守秘義務が課せられているからです。

では、どのように入手しているかというと、ダイヤモンド不動産研究所に興味深い記事がありました。情報を入手している業者は、行政(法務局)に対する情報開示請求を利用しているようです。
(参考:ダイヤモンド不動産研究所「不動産を相続すると、なぜ電話やDMが来るの?」)

情報開示請求によれば、かなり安価に入手できるので、司法書士等から無理やり聞き出す必要もないようです。会社設立の登記でも同様にDMが送られてきているようですが、司法書士が教えているという誤解がないようにお願いいたします。

マイナンバーカードの交付率が30%到達

マイナンバーカードの交付率が全国の人口比で30%に到達したようです。
【内閣府:マイナンバーカード交付状況(令和3年5月1日現在)参照】

長野県は、若干低く、24.9%だそうです。

マイナンバーカードがあれば、コンビニエンスストアで印鑑証明書や住民票の写しの取得が可能です。これらの住民票等の裏面には、ブツブツした点の集合みたいなものが印刷されています。これは、点が暗号になっていて、復号すると表の印刷面と同じものであるかを確認できるようになっています。

事務所に来所いただくかたの中でも、マイナンバーカードによる住民票等を持ってくるかたもかなり増えてきました。市町村役場の開所時間以外でも取得できるのが便利なのだと思われます。

個人の確定申告においても、e-taxを用いた申告をする場合、添付書類の省略ができたり、ネット上のみで申告ができたりと、なかなか便利なことも多いです。

また、昨年から健康保険証としても利用できるようになったため、今後のマイナンバーカードの利用の増加していくかと思います。
(参照 マイナポータル:マイナンバーカードの健康保険証利用

会計参与の制度をもっと使いましょう

株式会社に「会計参与」という任意の制度があります。

今日は、会計参与のはなしをします。

会計参与は、株式会社において、取締役と共同して計算書類等(貸借対照表や損益計算書など)を作成する職務を行い(会社法374条1項)、株主・債権者にその計算書類等の備置と開示義務を負います。(会社法378条1項、2項)

また、会計参与は、中小企業で選任されることが想定されており【法制審議会会社法(現代化関係)部会第23回会議(平成16年6月2日開催) 議事録参照】、その資格は、公認会計士又は、税理士でなくてはなりません。

「第6回 税理士実態調査報告書」(税理士でないと見ることができないため内容省略)では、税理士のうち、会計参与に就任しているのは、2.0%にすぎないそうです。

あまり利用されていない会計参与の制度ではありますが、建設業の経営審査や会社の信用にもつながるため、今後の制度改正も含めた利用に期待したいところです。

公証制度にかかる電子化

電子化は、これからのようです。

今日は、公正証書作成の電子化のはなしをします。
公正証書は、公証人役場で費用を払って作成してもらいますが、法律上公正証書が要件となっていたり(例 株式会社の定款、事業用借地権契約書)、より公正証書のほうが、安全性が保てる書類等(例 公正証書遺言)があります。

これら公正証書の作成は、通常公証人と対面により、本人性と内容を確認しますが、近年、定款の作成など、テレビ電話によってできるようになりました。

公証事務嘱託
請求手続き
嘱託人と公証人の対面の有無交付手続き手数料納付
公正証書の作成対面対面書面交付原則対面
定款・私署証書の認証オンライン可
(事前に電話・ファックスの連絡必要)
原則対面
(一定の場合テレビ電話可)
(その場で電子媒体で手交可)
電子送信
ネットバンク可
日付情報の付与オンライン可
(事前に電話・ファックスの連絡必要)
なし電子送信原則対面
公証事務のオンライン/対面の別
【出典:内閣府 第14回 投資等ワーキング・グループ
  公証制度における対面手続のオンライン化(新経済連盟提出資料)

今後、本人の意思確認や、民事訴訟手続との連携が課題となっているようですが、電子化がもっと進んでいくようです。

自筆の遺言(自筆証書遺言)の保管制度

法務局への予約が殺到しているようです。

今日は、自筆の遺言の保管制度の話をします。

昨年の7月から自筆の遺言を法務局に保管する制度が始まっています。
遺言には、自筆と公正証書と大きく分けて2つがありますが、自筆の遺言では、被相続人の死後、証拠保全のため、家庭裁判所の検認の手続きが必要となります。

しかしながら、保管制度のメリットとして、自筆の遺言を法務局に保管することによって、検認が不要です。

また、自筆の遺言は、相続人に発見されなかったり、改ざんされたりする場合もあるため、保管制度を利用することによって、管理上のトラブルを防ぐことができます。

令和3年3月までの利用状況は、16,721件だそうです。
法務省資料:自筆証書遺言書保管制度の関連資料・リンク集

遺言書の有効・無効は、実質審査されませんが、遺言書を金庫に入れておくよりは、より確実な制度と言えそうです。

同性婚の外国人パートナーに在留資格

読売新聞の記事(【独自】日本人との「同性婚」が海外で認められた外国人パートナーに在留資格…政府検討

現在、日本国内法では、同性婚は認められていないものの、同性婚証明(パートナーシップ証明)を出している自治体は、103の自治体だそうです。長野県では、松本市のみ。
(令和3年3月現在、「渋谷区 全国パートナーシップ制度共同調査」参照)

制度上も広く権利が認められる方向に向かえばと思います。

相続登記義務化のニュース

司法書士業界のみならず、インパクトの強いはなしです。

今日は、相続登記義務化の法案が4月21日に参議院で可決成立してのを受けた、ニュースについて集めてみました。

日本経済新聞 「相続登記の義務化、24年めど 所有者不明土地法が成立
毎日新聞 【土地の相続登記、義務化 「所有者不明」防ぐ 改正法成立
讀賣新聞 「不明土地対策 改正法成立…23年度にも施行 相続登記を義務化
中日新聞 【相続登記「センターへ相談を」 義務化受け県司法書士会
西日本新聞 「土地の相続登記を義務化
アットプレス 【-「相続登記の義務化」を含む3つの法律案が成立-  民法・不動産登記法等を改正する法律案の成立に伴う 会長声明を発表
マイナビニュース「相続登記の義務化と手続きの簡略化で所有者不明土地の問題解決へ。放置物件の有効利用は進むか?

論調は、さまざまですが、所有者不明の不動産対策と言えそうです。