印鑑証明書等のマイナンバーカードを利用した証明書の不具合

他人の証明書が発行された事例があるようです。
(参考 piyolog:「富士通JapanのMICJETで相次ぎ発生した証明書誤交付についてまとめてみた」)

8地方自治体で住民情報ソリューション「MICJET」という富士通社のスキームが起因しての不具合のようです。

高負荷,同時処理,修正漏れ等が不具合の原因にあげられているようです。

コンビニ交付の戸籍謄本,住民票,印鑑証明書を持ってきていただくかたもかなり増えてきました。発行に関わる手数料が安いことも要因かと思います。マイナンバーカードに関するトラブルが早く解消されることを望みます。

官報による決算公告は,わずか1.8%

株式会社で「官報」での公告を指定してあるうち,決算公告を実際している会社は1.8%にとどまるとのこと。
(参考:東京商工リサーチ「官報で決算公告、株式会社のわずか1.8%」)

非公開会社といってもある程度,債権者や従業員,地域等に社会的責任を果たすため,情報開示されることを望みます。

遺言書の保管を勧められた

あまり申請件数が多くないようです。

長野地方法務局では供託と遺言書の保管が,同じ窓口で行われています。

遺言書の保管は,3年位前から始まった制度で,自筆で書いた遺言を保管し,遺言の保管を相続人に通知することができ,家庭裁判所の検認を不要とする制度です。
(参照:法務省「自筆証書遺言書保管制度について」)

当該法務局の職員のかたから,申請件数が少ないということですすめられました。

全国で遺言書を作成している人が全体の7%弱に過ぎないというデータがあります。
(参考:平成29年法務省調査「平成 29 年度法務省調査我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務」)

政府や金融機関が個人投資を推進していることもあり,財産が複雑化し,個人の株式や投資信託の保有が増えており,個人資産も複雑化しています。
(参考:日本証券業協会「個人株主の動向について」)

よって,今後は多くのかたが資産を的確に後世に伝えるため,遺言の作成されることをおすすめしています。

FXや株式等の自動取引の怖さ

FXには,様々な自動取引のサービスが提供されており,便利である一定の財産を時間の経過によって増やしてくれる効果が期待できます。しかしながら,様々なリスクもあるようです。特に以下の2点の懸念事項が考えられます。

1.急激な値動きに耐えられないこと,あらかじめリスクから逃げておく準備がされないこと
 急激に価格が上下した場合には,そのリスクを追わなければならず,手動取引で経験のあるかたなら,イベント時期やニュース等によって,リスクをとって取引を控えようとしますが,自動取引の場合,値動きに合わせて自動で取引してしまいます。
(参考:インヴァスト証券「FXの自動売買とは?メリットやデメリット・初心者向けのコツについて解説」)


また,たくさんの自動取引がかえって急激な市場価格の変動を助長することが確認されています。
(参考:大和ネクスト銀行「ドル円の「フラッシュ・クラッシュ」なぜ、どのような時に起こるのか ?」)

2.手数料が多く発生するようにプログラムされている恐れがある
売買回数が多いほうが,取引業者の利益があがるため,自動取引の場合,投資者と利益相反状態になります。このことから,プログラムの内容によっては,手数料が多くなってしまい,かえって利益を損ねてしまうことがあります。
(参考:上記インヴァスト証券ウェブサイト)

また,あまり損が多額になってしまうと自動取引を中の取引業者が勝手に手動取引にしているケースもあるようです。
(参考:弁護士ドットコム「FX自動売買ソフトで大損、実は人間による「裁量トレード」だった…販売業者らに3000万円賠償命令」)

結局,生成AIやプログラムによる自動取引も人の判断に比べて良し悪しがあると言わざるを得ないと思われます。

相続人の相続(数次相続)の後相続に遺言書で全部相続(包括遺贈)があった場合,前相続の当事者は,全部相続者(包括受遺者)のみにできる

不動産の名義人甲が死亡し,その相続人が乙と丙であり,遺産分割協議未了の間に丙が死亡した場合,丙の相続人はA,Bの2人になりますが,丙が「全ての相続財産をAに相続させる」との遺言書を作成していたときには,前の相続の遺産分割協議の当事者は,乙とAの2名となります。Bの遺産分割協議への参加不要です。(登記研究831号参照)

ただ、Bから遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)がなされていない場合に限るようです。よって,遺産分割協議書に「Bから遺留分侵害額請求権の行使がない」旨の記載をするか,上申書を添付するかのどちらかが必要となるようです。
(出典:圓岡(まるおか)先生のホームページ「数次相続発生時に、相続人の一人に全部相続させる旨の遺言(包括遺贈)がある場合」)

司法書士同期に聞かれて,調べてみました内容ですが,法律上(民法 第990条 包括受遺者の権利義務)正しくても登記申請で使えるか,金融機関では,どうかという点では考えないといけないので注意が必要です。

信託財産は,譲渡所得の空き家特例が利用できない

国税庁から見解が出ています。
(国税庁:「信託契約における残余財産の帰属権利者として取得した土地等の譲渡に係る租税特別措置法第35条第3項に規定する被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用可否について」)

空き家特例は,空き家である被相続人の居住用家屋と敷地(区分建物は含まない)を相続または遺贈で取得したもので,土地建物を第三者に売却し,売却金額が1億円以下の場合等ある一定の要件を満たすと,確定申告で,特別控除できる特例があります。
(国税庁:「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)

家族信託等で信託財産にした場合には,将来,対象不動産は空き家特例が利用できないようなので,信託契約時の信託財産の範囲に,居住用土地,建物を含むか否かを慎重にご検討ください。

相続登記の申請義務の違反者には,分かった時点で円滑に過料制裁をするつもりのよう

不動産登記規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集にて,相続登記申請義務化にあわせて,過料(行政手続き上の罰金みたいなもの)の手続きの整備がされるようで,過料制裁(裁判所から罰として国にお金を払うよう通知がいく制裁)が間違いなく機能することになりそうです。
(参考:「不動産登記規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集」)

注意!登記の後のDMは,司法書士は関係ありません

弊所などで相続登記後,別業者からDMが来ることがあります。これは,弊所や他の司法書士事務所から情報提供していることは絶対にありません。

からくりとしては,DMを送付している業者や関連業者が,法務省(法務局)に情報開示請求をしているものであり,業者が自ら行政上の制度を使って調べ上げてあげています。司法書士が勧めているわけでもなんでもないので,連絡が来ても司法書士から情報提供された等の誤解をされないようお願いいたします。

また,取り扱われる個人情報について,何かご不明点があれば事務所にお問い合わせいただければと思います。よろしくお願いします。

不要な土地の放棄の問い合わせ増加

法務省(法務局)への問い合わせが全国ですでに3,000件超だそうです。
(参照 TBS NEWS DIG:「不要な土地は“相続放棄”「相続土地国庫帰属制度」が開始 相談すでに3000件超【Nスタ解説】」)

法務局にもすでに説明もありますが,
・審査手数料(登録免許税)は14,000円が基本
・負担金は,原則1筆20万円(土地によっては面積に応じて変動する)
・審査にかかる期間は,半年以上1年程度
(参考 法務省:「相続土地国庫帰属制度のご案内」)

3,000件とは,ものすごい勢いですね。

土地のマイナーな権利「賭地権」

臨時農地等管理令」という昭和16年の勅令(議会を経ていない天皇の発する命令)の昭和19年改正時点で登場します。

実際は旧字体で「賭地權」(「かけちけん」と読むと思われます)と書くそうです。この命令は,現在の農地法と似た法令で,農地の処分には,地方長官(旧憲法の都府県知事等)の許可が必要であるという内容になっています。

「賭地権」は朝鮮半島を中心として,永小作権等を転貸するための権利となります。転貸には,土地所有者の承諾を必要とせず,自由に転貸できたとのことです。中間者(原永小作権者)が賭地権者(転永小作権者)から小作料を受け取り,その小作料より少ない原小作料を土地所有者に払うことによって中間利益を得ることがこの権利の目的だったようです。
(参考:京都大学情報リポジトリ「宮嶋博史著 <論説>朝鮮甲午改革以後の商業的農業 : 三南地方を中心に」67頁)

但し,旧不動産登記法に規定がないため,登記はできなかったものと思われます。
(違っていましたら,情報提供をお願いします)

また,同勅令は,農地法に移行していったとのことです。
(参考:広島大学経済学会 「坂根 嘉弘氏 臨時農地等管理令に関する基礎研究 : 臨時農地等管理令第3条・第5条・第7条を中心に」