ブログ(業務日誌)

住宅取得資金の贈与税の減免

問い合わせがありましたので,調べてみました。

今日は,贈与のうち,住宅取得資金については,贈与税の減免があるはなしをします。

住宅を取得する際に,父母や祖父母から,資金の提供を受けた際に,一定の要件を満たせば,「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」とされる,贈与税の減免を受けられます。
(参考 国税庁:「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」)

混同しやすいものとして,住宅ローン減税がありますが,ローンを受けて所得税の控除を受けるものとは違い,贈与税を対象とした減免となります。

省エネ等住宅の場合には1,000万円まで,それ以外の住宅には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となるようです。

建物の取得だけではなく,土地の購入資金も取得時期によっては,対象となります。
(参考 国税庁:「住宅用家屋を新築するための土地の購入資金に充てるために金銭の贈与を受けた場合における住宅取得等資金の贈与の特例の適用の可否」)

注意点としては,申告が必要なことと,ローンの返済に当てた場合は対象にはならないようです。
(参考 国税庁:「タックスアンサー 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」)

税の分野であるため,詳しくは税務署か税理士にお問い合わせください。

給与ファクタリング(給与の債権譲渡による金銭交付)は貸付け

給与債権の債権譲渡を対象とした金銭交付が,貸金業法や出資法の貸付けに当たると最高裁で判断されました。(最高裁令和5年2月20日決定


よって,給与ファクタリングの業者は,貸金業法上の登録が必要であり,出資法(出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律)5条の高金利処罰の対象となります。

このスキームは,給与を業者に債権譲渡して金銭の貸出しをし,債権の買戻しをすることによって返済する仕組みです。

客が買戻しを期限内にすれば,給与ファクタリングをしたことについて,勤務先に分かることはありませんが,期限内に買戻しができなければ,業者が会社に給与を請求することにより,会社に分かってしまいます。

このスキームによって,客に事実上買戻しを強制することになるため,貸付けであると判断されたようです。(参考:朝日新聞【給料ファクタリング「貸金業法の貸し付けにあたる」 最高裁が初判断】

いらない土地のみを放棄する「相続土地国庫帰属制度」の開始

4/27から「相続土地国庫帰属制度」が始まるそうです。
法務省:「相続土地国庫帰属制度について」)

相続した土地で,負担が大きい等土地を手放したい場合に,国の資産である国庫に帰属させることができるようになる制度です。

所有者が申請し,法務大臣(法務局)の審査と承認を経て国庫に帰属させます。

承認の条件として,1筆最低20万円の負担金が必要なことと,土地の要件として,以下のものが挙げられています。
・建物がない
・抵当権等の担保設定がない
・通路,道路に使用されていない
・土壌汚染されていない
・境界に争いがない
・崖でない
・車両等の工作物がない
・森林でない場合は樹木がない
・森林の場合,森林整備計画に定めた造林,間伐等に適合している
・地下に産業廃棄物等がない
・土砂崩れ等の災害の発生のおそれがない
・鳥獣,病害虫が生息していない(軽微なものはOK)

これだけ条件が厳しいと,そもそも民間で売れる土地のような気もしますが…
運用が明らかになってきましたので,今後,不要な土地について,相続放棄や売却とともに検討に加えていただければと思います。

キラキラネームを認めるのか否か

戸籍に読みがな(ふりがな)をつける戸籍法改正案が法制審議会の部会で検討されています。(NHK:【行きすぎの「キラキラネーム」は戸籍記載せず 法改正の要綱案】)

このニュースによると,いわゆるキラキラネームについては,今後法律施行までに通達で方針を示すようです。

法務大臣は,2/3の閣議後記者会見で,
「要綱案においては、一般に認められている読み方以外の読み方でありましても、現にその読み方を使用していることを証することができる書面、そういったものを添付した上で届出がなされた場合には、これを認めることとしている」
としています。(法務省:「法務大臣閣議後記者会見の概要 令和5年2月3日(金)」)

一般に認められている読み方以外でも,認める方針のようで,どこまでキラキラネームが認められるか注目されるところです。

情報公開請求件数のトップは法務省

情報公開請求の請求数で,行政機関のトップは,「法務省」で圧倒的に「一部開示」となっています。(総務省:情報公開制度 令和2年度施行状況調査結果

これは,法務局の「登記受付簿」の情報公開を請求している数が多いと推定されます。

法務局に相続等の登記後,見知らぬ業者からDMが来ることがありますが,司法書士がその登記した情報を漏らしていることは絶対にありません。情報公開制度を利用して業者が「不動産登記受付簿」を閲覧することによって,登記された申請人と不動産を特定しているのです。

情報公開請求制度は,市民の権利かと思いますが,業者のビジネスに利用されていることも多いのでしょう。

国庫入り資産が最高額

もったいないというか,行き先がなくなっているというか。

今日は,国庫に入る,相続人のない遺産が,令和3年度で最高額になったというはなしをします。

相続先のない遺産が,国庫に入ったのが,647億円だそうです。
(朝日新聞社:「相続人なき遺産、647億円が国庫入り 21年度過去最高」)

民法上,相続先のない遺産は,相続財産管理人の選任の公告,相続債権の請求の申出の公告や相続人検索等を経て13か月以上経過後,国庫に帰属します。(民法959条)

実際には,家庭裁判所から選任された相続財産管理人が,未払いの税金等を資産の売却等で精算した後,国庫に入る手続きに移行します。

我国の人口減少と人口の高齢化にともなって,行き場のない遺産は,今後も増加傾向にあると思われます。

国庫に入る財産は,行き場のなくなった財産です。相続人のないかたは,是非,公正証書や遺言書の法務局の保管等,確実な遺言書を作成して,行き場のない財産をなるべく出さないようにしていただきたいものです。

法務局が有する地図データの無料化

データがXML形式のようですが,初日は全く接続できませんでした。

今日は,法務局で保有している地図のうち,不動産登記法上の地図と地図に準ずる図面(準地図)はデータ化された,地図データの無料化のはなしをします。

法務局の地図データがXML形式によって,無料でダウンロードできるようになりました。
(法務省:「地図データのG空間情報センターを介した一般公開について」)

ところが初日に接続してみたところ,接続できませんでした。アクセスが集中したようです。

早く,データを使ってみたいところですが,このデータは,法務局で証明力のある書類として発行できる,地図証明書や図面証明書と違い,証明力がありません。証明力がないということは,法務局登記官の印鑑が押印されないということです。

その代わり,直接データとして扱えるので,ソフトウェアによって活用することができるようになります。社会基盤の活用されていくのを期待したいところです。