社会保険労務士試験の合格を目指される方へ

今年の社会保険労務士の試験日は8/27だそうです。
(参考:第55回(令和5年度)社会保険労務士試験 受験案内

社会保険労務士試験,いわゆる社労士試験の合格はもう3年前の年度になりますが,独学で試験を目指される方への参考になればと思います。

科目は約7科目あり,午前8問午後70問の試験です。午前は選択式,午後は,択一式の問題となり,記述や論文試験みたいなものはありません。

試験科目毎に対策が必要で,1科目毎,全く違う対策をとることになります。知識の重複(つまりある科目の内容が他の科目の内容と重なる)ことはほとんどありません。特に国民年金と厚生年金は,似ているようで,かなり違うので知識の混乱を起こすことがあります。少しだけ各科目に関する知識の入れ方を説明しておきます。

労働基準法・労働安全衛生法:過去問だけでは足りず,公務員試験問題(労働基準監督官試験等)や重要通達(例:特に基発150号 昭和63年3月14日)の読み込み,衛生管理者試験の過去問(例:過去問サイト)等は欠かせないかと思います。
平均賃金の除外や割増賃金の除外項目,妊産婦の請求項目は確実に覚えておいたほうがいいです。

労災保険法・労働保険徴収法の一部:労災保険法は,過去問で十分かと思いますが,療養補償給付と休業補償給付,傷病「補償」年金・障害「補償」年金や障害「補償」一時金・障害年金,「前払」一時金と「差額」一時金,特別年金や特別支給金等の違いはかなりややこしいので,正確に覚えたほうがいいです。名称もかなりややこしいです。
特別加入の業種もなんとか覚えましょう。

雇用保険法・労働保険徴収法の一部:過去問で対応できると思いますが,他の制度と微妙に時効等の日数や年数が違うので正確に覚えたほうがいいです。

健康保険法:過去問で対応できると思いますが,船員保険法や国民健康保険法と混同しやすく,微妙に年金や他の保険と比較して日数,年数や金額が違うので,似た条文を対照して比較して覚えたほうがいいです。

厚生年金法:本当に覚えることが多く,特に初期学習では,年金の種類(老齢,遺族,障害等)に混乱が生じます。どの年金について学習しているか常に考えながら行ったほうがいいです。あと,加給年金や振替加算のあたりは,昭和の制度の知識の積み重ねが必要なので,分からない言葉や制度等があったらその都度深掘りしていったほうがいいです。

国民年金法:厚生年金の制度と非常に混乱するので,どちらの年金かを常に気をつけて学習を進めたほうがいいです。あと,年金の併給については正確に覚えたほうが良いと思われます。

労働管理・社会保険に関する一般知識:正直最後まで何を学んでいいかよくわからない部分があります。試験によって難易度が異なり,人によって問題に相性があるため,知識をひたすら貯めていって,その場で最適解を得るという方法しかないかと思います。
知識の源泉として,労働経済白書,厚生労働白書安全衛生関係統計等を用いて,一通り何回か目を通して置くことが必要かと考えます。内閣府の出す統計からも出ることがありえます。関連公務員や業界のかたは,日頃そういう知識に触れているせいか,簡単に解けるかたが多いようです。

以上ですが,社労士試験は,暗唱するような記憶のしかたの必要な試験であることが特徴です。目指される方はがんばって記憶していってください。

パートや有期雇用労働者の不合理な待遇差禁止

パートタイム・有期雇用労働法の改正により、4月から中小企業でも改正が適用され、パートタイム労働者と有期雇用労働者の正社員との待遇差が禁止されます。

今日は、労働者の待遇差と説明義務について、話をします。

正社員と非正規雇用労働者との待遇差が禁止されるわけですが、具体的に待遇差とは、厚生労働省によるガイドラインによって例示されています。
参照 同一労働同一賃金ガイドライン・厚生労働省

これによると、
・基本給
・賞与
・各種手当
・福利厚生・教育訓練
で待遇差が禁止されています。賃金に関する部分が多いです。

社会全体を見ても、性別(令和1年賃金 男性平均338万円、女性平均251万円)や正規・非正規(令和1年賃金 正社員325.4万円 正社員以外221.2万円)で給与水準に隔たりがあるわけですから、その解消が望まれます。
(厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況 「性別」、「雇用形態別」参照)

この他にも、事業主には、非正規雇用労働者に対して、正社員との待遇差について、説明義務が生じることになりました。つまり、非正規雇用労働者から求められれば、事業主は、説明する必要があります。(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第14条第2項)

会社にあっては、説明を求めることができるような環境を作っていく必要が出てきたということになるわけです。

70歳までの就業機会確保義務

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正され、令和3年4月より、70歳まで雇用継続制度を置くように、企業に対して努力義務が課せられるようです。

1.70歳まで定年年齢を引き上げ
2.70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入
3.定年制を廃止
4.70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
5.70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

今後、義務化されるのでしょうか。