いらない土地のみを放棄する「相続土地国庫帰属制度」の開始

4/27から「相続土地国庫帰属制度」が始まるそうです。
法務省:「相続土地国庫帰属制度について」)

相続した土地で,負担が大きい等土地を手放したい場合に,国の資産である国庫に帰属させることができるようになる制度です。

所有者が申請し,法務大臣(法務局)の審査と承認を経て国庫に帰属させます。

承認の条件として,1筆最低20万円の負担金が必要なことと,土地の要件として,以下のものが挙げられています。
・建物がない
・抵当権等の担保設定がない
・通路,道路に使用されていない
・土壌汚染されていない
・境界に争いがない
・崖でない
・車両等の工作物がない
・森林でない場合は樹木がない
・森林の場合,森林整備計画に定めた造林,間伐等に適合している
・地下に産業廃棄物等がない
・土砂崩れ等の災害の発生のおそれがない
・鳥獣,病害虫が生息していない(軽微なものはOK)

これだけ条件が厳しいと,そもそも民間で売れる土地のような気もしますが…
運用が明らかになってきましたので,今後,不要な土地について,相続放棄や売却とともに検討に加えていただければと思います。

キラキラネームを認めるのか否か

戸籍に読みがな(ふりがな)をつける戸籍法改正案が法制審議会の部会で検討されています。(NHK:【行きすぎの「キラキラネーム」は戸籍記載せず 法改正の要綱案】)

このニュースによると,いわゆるキラキラネームについては,今後法律施行までに通達で方針を示すようです。

法務大臣は,2/3の閣議後記者会見で,
「要綱案においては、一般に認められている読み方以外の読み方でありましても、現にその読み方を使用していることを証することができる書面、そういったものを添付した上で届出がなされた場合には、これを認めることとしている」
としています。(法務省:「法務大臣閣議後記者会見の概要 令和5年2月3日(金)」)

一般に認められている読み方以外でも,認める方針のようで,どこまでキラキラネームが認められるか注目されるところです。

情報公開請求件数のトップは法務省

情報公開請求の請求数で,行政機関のトップは,「法務省」で圧倒的に「一部開示」となっています。(総務省:情報公開制度 令和2年度施行状況調査結果

これは,法務局の「登記受付簿」の情報公開を請求している数が多いと推定されます。

法務局に相続等の登記後,見知らぬ業者からDMが来ることがありますが,司法書士がその登記した情報を漏らしていることは絶対にありません。情報公開制度を利用して業者が「不動産登記受付簿」を閲覧することによって,登記された申請人と不動産を特定しているのです。

情報公開請求制度は,市民の権利かと思いますが,業者のビジネスに利用されていることも多いのでしょう。

国庫入り資産が最高額

もったいないというか,行き先がなくなっているというか。

今日は,国庫に入る,相続人のない遺産が,令和3年度で最高額になったというはなしをします。

相続先のない遺産が,国庫に入ったのが,647億円だそうです。
(朝日新聞社:「相続人なき遺産、647億円が国庫入り 21年度過去最高」)

民法上,相続先のない遺産は,相続財産管理人の選任の公告,相続債権の請求の申出の公告や相続人検索等を経て13か月以上経過後,国庫に帰属します。(民法959条)

実際には,家庭裁判所から選任された相続財産管理人が,未払いの税金等を資産の売却等で精算した後,国庫に入る手続きに移行します。

我国の人口減少と人口の高齢化にともなって,行き場のない遺産は,今後も増加傾向にあると思われます。

国庫に入る財産は,行き場のなくなった財産です。相続人のないかたは,是非,公正証書や遺言書の法務局の保管等,確実な遺言書を作成して,行き場のない財産をなるべく出さないようにしていただきたいものです。

法務局が有する地図データの無料化

データがXML形式のようですが,初日は全く接続できませんでした。

今日は,法務局で保有している地図のうち,不動産登記法上の地図と地図に準ずる図面(準地図)はデータ化された,地図データの無料化のはなしをします。

法務局の地図データがXML形式によって,無料でダウンロードできるようになりました。
(法務省:「地図データのG空間情報センターを介した一般公開について」)

ところが初日に接続してみたところ,接続できませんでした。アクセスが集中したようです。

早く,データを使ってみたいところですが,このデータは,法務局で証明力のある書類として発行できる,地図証明書や図面証明書と違い,証明力がありません。証明力がないということは,法務局登記官の印鑑が押印されないということです。

その代わり,直接データとして扱えるので,ソフトウェアによって活用することができるようになります。社会基盤の活用されていくのを期待したいところです。

家族信託・任意後見・法定後見

認知症等で意思表示が難しくなった際に財産管理等の事務を行う制度です。それぞれ,柔軟性が異なります。

準備段階では家族信託か任意後見を選択でき,家族信託は契約か公正証書で構築し,任意後見は公正証書で構築し,必ず監督する人を選任します。すでに認知症等で意思表示が難しい状態になった場合には,法定後見しか選択の余地がなくなります。

参考までに
家族信託は,「国民生活センター:国民生活 2019. 5 高齢者の生活と資産を守る「家族信託」を考える
任意後見は,「法務省:Q16:任意後見制度とは,どんな制度ですか?
法定後見(成年後見)は,「法務省Q3~Q15 「法定後見制度について」

どちらにしても,早めの検討が必要かと思います。

登録免許税の一括納付

12/19より,登録免許税の一括納付が可能になります。
(法務省:「連件申請における登録免許税の一括納付について」)

マンションの保存登記や複数の法定相続登記等,連件での登記を申請する場合,1つ1つ納付情報毎に操作して納付しなければならなかったものが,一括で納付できるようになって,納付担当者は楽なるかと思います。

ただし,一括納付は電子納付に限っていることから,弊所では,印紙納付のためほとんどのため,ぜんぜん関係ないお話でした。