ブログ(業務日誌)

修繕しなくてもいい契約はできるか?

修繕しない契約はできるのかという
はなしをします。

最近、古いアパートが多くなってきましたね。

アパートが建築は日本経済のいわゆるバブル期である
平成2年前後をピークに減少しています。
(参考 価値総合研究所 賃貸住宅市場の実態
http://www.mlit.go.jp/common/001011169.pdf)

アパートなどの借家を借りるときは
そのころのアパートをみることが多いです。

それほど新築でないアパートであれば、
修繕しないと使えない場合も多いはず。
建て替えも検討されている物件も多いのでしょうか。

建て替えなんて、なかなかできる状況にないですよね。。

ところで借主のほうも、古いということであれば、
家賃を低くして住みたいというニーズだってあるはずです。

ただ、貸主にしてみると、家賃が低くした分
修繕にお金をかけたくないというキモチも働きます。

通常は、賃貸借契約の修繕義務は
貸主にあります。
(民法606条)

であれば、特約などで借主に負担してもらおうという
ことを考えられなくもありません。

そういった契約も可能は可能です。

ところが、修繕義務を借主に負わせる特約の効力は
判例では認められない場合が多いようです。
(参考 全国借地借家人組合連合会 HP
http://www.zensyakuren.jp/saiban/saiban.html)

なぜなら、
借主はほぼ、消費者契約法上の消費者で場合が多く、
1.建物に瑕疵(知らなかった欠点など)があった場合に貸主の修補の責任を
免除できなくなる。
(消費者契約法8条)
2.そもそも消費者が一方的に不利な契約は無効である
(消費者契約法10条)
などがあります。

結局、家賃を低くした理由を明確にする、
つまり、建物に瑕疵がないよう、
欠点を書面などで明確にしなければなりません。

また、いずれは建て替えということであれば、
定期借家ということ
(つまりは、貸主から契約を解除できる状態)
にしておかなければならず、
(借地借家法38条)
それには、公正証書によって契約しなければなりませんから、
それなりに費用がかかり
低い家賃で抑えるというわけにはいかなくなります。

やはり、修理しない契約というのは
なかなか難しいものですね。

故人への弔い

相続手続きって、故人への弔い(とむらい)
でもあるという話もします。

司法書士などの士業のする
相続手続は、亡くなった方の
財産の把握とその名義変更などの仕事が主です。

でも、その手続きは、
そんなに急を要するものではありません。

急ぐところでは、
相続放棄や限定承認  知って3か月以内
(民法915条)
相続税の申告     知った日の翌日から10か月以内
(相続税法27条1項)

故人名義の不動産などの
相続手続きは、どうしても
遅れがちになります。

遅れすぎて、次の相続が始まったり
しているものも数多くあります。。

しかしながら、
遅れれば遅れるほど
その手続が煩雑になったり
手の付けられない
状況に陥ることもあります。

でも、この手続って
故人への弔いのように感じることがあります。

財産を整理することは
生きていた道やあかしを次の人に受け継ぐこと。。

そんな感じがするのです。

戸籍の文字って

古い戸籍ってよみづらいですよね。。

今日は
戸籍についてのおはなしです。

相続に関する仕事をしていると、
戸籍について触れることが多いです。
というかほぼそれがメインですね。

戸籍制度というのは、
家族単位で人を記録する制度です。

家族単位というのは、世界的には
めずらしいみたいです。

現在の戸籍も家単位ですよね。
家単位というのも議論があるところですけど。

戸籍という記録も
古くは明治初期の
壬申戸籍(じんしんこせき)までさかのぼることができます。

でも、戸籍は奈良時代からあったようですけどね。
(日経新聞 戸籍の最古の木簡とされるもの
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG12031_S2A610C1CR8000/)

その後明治31年に戸主を中心とした
大家族の記録するようになります。
そのころの戸籍をみると
戸主のきょうだいの妻子も
記録されています。

このころは、とある身分や犯罪歴も
記録されたようですね。

差別の温床ともなっていたわけで。

あとで黒塗りにされたみたいですけど。。

それにしても、この昔の戸籍が
よみづらい。。
当然、人の字で書かれていて
数字も感じで「壱」「弐」「参」だったり
読めないひらがなや漢字が盛りだくさんです。

創作文字もあるんですよ!!

創作文字というか、
いろいろなひらがなや
漢字ですかね。

造りのへびみたいなものがあったり、
変なところに点が打ってあったり。。

その後、大正4年式などを経て、
戦後の民法改正で
核家族単位で記録されることになります。
(戸籍法14条以下)
現在の戸籍もそうです。
(いわゆる昭和の改製)

今後もどのような戸籍に出逢うことか‥。

マイナンバー適用の延期は?

今日は
マイナンバーは延期するの?
っていうはなしをします。

昨日は年金支給日でした。
年金は国民年金のほか
障害年金や遺族年金もあります。
社会的弱者が年金を受け取っている場合が多く、
先日ニュースにもなった年金情報の
外部流出事件は、そういった意味からも
由々しき事態です。

それにしても
年金情報なんてなぜほしいのでしょうかね。

年金を受け取っている世代や
層をターゲットにした
犯罪に使用するためなのでしょうか。

ところで、年金情報とマイナンバーのひも付けも
平成28年以降から導入が予定されています。

民間業者でもマイナンバーへの対応が必要です。
情報漏えいリスクがなお、高まります。

配布が予定されている個人番号カードでは
住基カードみたいに
身分証明書として使用できるみたいです。

当然、会員制のサービスや
いろいろな場面で身分証明書として
提示することが想定されますが、
裏面には個人番号が記載されています。

それをコピーしたり、保管することは
法律で禁止されています。
(マイナンバー法20条)

今回の漏れた年金?のように
マイナンバーは高度な個人情報です。

今度は、有名人の所得や資産が
すべてわかってしまうような情報かもしれません。
そういうのを欲しがる人もいるでしょう。
万全の対策をとってもらいたいものですね。

農業社会から職業の転換

人はどのようにして生業を見つけていたか
というはなしをします。

日本の明治から昭和にかけて、資本主義がおとずれと同時に
農村部に、私有財産制の導入と税負担増加(地租改正)などによって
自作農をしていた農民たちが小作農へ変化していったようです。

小作農の増加と並行して、小作争議が増加していきました。
争議の増加から推察すると、決して多くの農民が豊かな生活をしていたわけでない
ということがわかります。

昭和初期では工業化や小作農民の経済的困窮から、農民から
建設業やサービス業に労働者が多数流れていっているようです。
(出典 農林水産省 産業別労働力の動向 清水良平氏
http://www.maff.go.jp/primaff/koho/seika/nosoken/nogyosogokenkyu/pdf/nriae1966-20-2-4.pdf)

それにしても、いままで農業をしていたひとたちが
どのように、職場を探していたのでしょうか。

戦中には、国家総動員体制下の職業紹介法によって「職業安定所」
今のハローワークが作られています。
現在も職業安定法によって引き継がれているわけですが、
旧職業安定法では
「何人モ, 有料デ又ハ営利ヲ目的トシテ
職業紹介事業ヲ行テハナラナイ」
とされていました。
戦中戦後は、職業安定所が職業紹介事業にを一手に行っていた
ということがわかります。

戦後は、労働者の生活の安定ということも
政府が一手に行う目的でもあったわけです。

現在の職業紹介事業は許可制となっています。
(職業安定法31条、33条など)

戦中より前は、いわゆる紹介者が行っていました。
その紹介というのはどうやら、ヤクザの商売だったようです。
(出典 なぜ職業紹介を国が行うのか 神林 龍教授
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2009/04/pdf/066-069.pdf)

農村で賭場を開いていたヤクザが職業紹介事業に進出したようです。
職業や人を紹介するという役割が、その人達の社会的な役割に
合致していたのか、そもそも政府や産業界がそれを利用したのかは
定かではありませんが。。
当然、紹介者はヤクザなので、詐欺や暴力的な紹介方法を
使用したことは容易に想像できます。

これって、あの強制?があるとかないとか
いっている例の問題にも共通するはなしなんでしょうね。。

以上のように、政府が職業安定所を使用するように
職業斡旋を管理するほうが、一定の秩序が保たれるいうのは
間違いないようです。

現在の派遣事業も、一種の職業紹介事業です。
本当に働く人の生活が守られて、
一定の秩序が保たれているのでしょうか。

言葉が変わること

今日は
株式会社法で、言葉が変わったことについて
書きます。

変わったと言っても平成18年のはなしです。
その年に商法から株式会社法が分離し、
会社法が施行されました。

そのなかで、
文語体(商人ハ支配人ヲ)から
口語体(商人は支配人を)
になったこともありますが、
かなり条文が変化し
「発行する株式の総数」が、「発行可能株式総数」
「端株」が、「単元未満株式」(ちょっと違いますけど)
「1単元の株式数」が、「単元株式数」
「利益配当」が、「剰余金の配当」
「営業年度」が、「事業年度」
などになりました。

それによっていろいろ制度も変わったのです。

変えることのはきっと、社会情勢など
いろいろな側面がありますが、
実務家はたいへんでしたよね。

ただ、ワタクシ自身は
会社法になってから勉強したので、
旧商法時代のことはよく知らないのですけど。

旧商法について調べてみると、
「番頭」や「手代」なんていう言葉もありました。
(旧商法43条)
今の商法では、「主任者であることを示す名称を付した使用人」
ということになるのでしょうか‥。(商法24条)

言葉が変化すると、それに対応して社内のルールもそうですが、
定款や就業規則もそれにしたがって変えていかなければななりません。

業種や企業規模によっては、それこそ頻繁に
定時株主総会や定時社員総会の際に
そういったものを変更しているようです。

言葉の変化をひとつ追っていくのも
たいへんなことですよね。

建設業の責任者が多い

今日は建設業って責任者が多いっていうはなしをします。

建設業の従事者は、平成22年で447万人としています。
(建設経済研究所出典 http://www.mlit.go.jp/common/001026207.pdf)

建設業を営む場合、工事1件の請負代金の額が500万円以上の工事は
建設業法上の一般建設業の許可が必要です。
(建設業法3条1項1号、建設業法施行令1条の2)
長野県内の平成26年時点の建設業者(許可を受けた業者)は、7,981だそうです。
(参考 長野県 http://www.pref.nagano.lg.jp/kensetsu/infra/kensetsu/kyoka/kyoka/index.html)

要件としては、
形式的要件は、都道府県や国土交通省への申請です。
実質的要件は
・「管理責任者」 
 許可を受けようとする建設業に関して5年以上の経営業務
・「専任技術者」
 実務経験10年以上など
・誠実性
・財産的基礎または、金銭的信用
 自己資本が500万円以上
(以上、建設業法7条)
があります。

許可を受けた建設業者は、施工時に「主任技術者」を置かなければなりません。
(建設業法26条)
主任技術者は、一定の実務経験が必要です。

下請契約の請負代金総額が3,000万円以上の場合の元請業者は
特別建設業の許可(建設業法3条1項2号、建設業法施行令2条)と
「監理技術者」の設置が必要です。(建設業法26条)

また、1件の工事の請負代金が2,500万円以上で、
事務所や学校、公共機関などの重要な建設工事であるときは
主任技術者又は監理技術者を工事現場ごと専任(その場所のみで監督する)
しなければなりません。
(建設業法26条3項)

それと、安全管理もしなければなりません。

建設業で通常50人以上の事業場は
「統括安全衛生責任者」を置かなければなりません。
(労働安全衛生法15条、労働安全衛生法施行令7条)
また、統括安全衛生責任者を置いた場合は、
「元方安全衛生管理者」を置かなければなりませんし、
事業場ごと専属しなければなりません。
(労働安全衛生法15条の2、労働安全衛生規則18条の3)

総括安全衛生管理者がいなくても建造物によっては、
「店社安全衛生管理者」を置かなければなりません。
(労働安全衛生法15条の3)

 
あと、建設業も業種によってさまざまな資格や「作業主任者」が必要ですよね。

「管理責任者」
「専任技術者」
「主任技術者」
「監理技術者」
「統括安全衛生責任者」
「元方安全衛生管理者」
「店社安全衛生管理者」
「作業主任者」

兼任もありますけど、たくさん必要ですね。。
それだけ、責任のある、たいへんな業種であると言えますよね。

投資のはなし 株式市場

暑くなってきて、長野も梅雨入りが近いと思いますが。。

今日は株価のはなしをします。

日経平均株価が大きく伸びているようです。
昨年の7/1で終値 15,326円
今年の6/8    20,457円
33.5%の伸びです。

ところで、外国人投資家の日本株式の
シェア率ってどのくらいか知っていますか?

6割くらいだそうです
(出典 日経新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXNASGD1308B_U4A610C1NN1000/)
外国人はドル建てで取引しますよね。。たぶん。。
ちょっとここで引っかかることがあります。。
経済学を勉強されたかたならおおよそわかるとおもうのですが、
そうなんです、今、円安なので、ドル建ての
日経平均をみないといけないのです。
でみてみると、

昨年の7/1で終値 150.97ドル
今年の6/8    162.98ドル
(参考 http://nikkei225jp.com/data/dollar.html)
8.0%の伸びです。

まあ、伸びていますけど‥

これをどう評価するかはさまざまだと思いますが、
それほど伸びていないことがわかります。

現在の日本株式市場が
為替相場がものすごく影響しているかも
しれないということですね。

新投資口予約権とは

あまり聞き慣れない権利ですが、
そのはなしをします。

新投資口予約権とは
投資信託や投資法人の債券を持っているひとを対象にした
新たな投資を予約する権利のことをいいます。

出資できる権利ですが、債券なので譲渡可能であり、
出資しないで売却することも可能です。
これを含めて、財産としての価値を見出しているのでしょう。。

制度自身は、株式の新株予約権(ワラント、ストックオプション)と
近い設計になっているようです。
(投資信託及び投資法人に関する法律88条の2)

利点は既に投資しているひとに対して、
既に出資している投資口の希釈化
を防ぐため。
(カルピスがうすまるのを防ぐようなもの)

需要がないのに投資を増やすと
薄まって価格が下がってしまい、
既存の投資主の知らないうちに利益を害してしまうことがあります。
投資口の予約権を既存の投資主に平等に与えておけば、
将来をみすえて、その予約権を増資にするひとと、
売却するひととで選択して
バランスがとれるのでは?
と考えられています。

考えると難しい権利です。。

不安なのは、新株予約権もそうだったのですが、
市場に出回っていない権利を言葉巧みに
これらの権利を売りつけて
だますひとが現れること。。

おいしいはなしなんて、なかなかないものです。
気をつけたいですね。

消費税のとりかた

今日は
消費税のインボイス方式にするの?
というはなしをします。

与党税制協議会の軽減税率検討委員会で
いわゆる「インボイス方式」の導入を必要としています。
参照 https://www.jimin.jp/news/policy/127841.html

物品ごとに消費税率を変えるための
制度のようです。

数年前?、経済学部で財政学のゼミ生であったワタクシも
消費税の制度について議論しました。
主な論点は

「帳簿方式」か「インボイス方式」か

でした。
(参考朝日デジタル: http://www.asahi.com/business/intro/TKY201204100667.html)

そのころの記憶をたどると‥

帳簿方式とは、すこし前の日本のように
帳簿に記帳することによって消費税を計算し、
事業者が帳簿上の売上と仕入に従って消費税を納入すること。

この最大の問題点は益税や脱税です。
帳簿の消費税額は、証拠力が低いため
それらがしやすいと考えられています。
(現在の日本では帳簿+請求書保存方式を採用しています。)

インボイス方式とは、税額を記載請求書のしたがって
消費税を計算し、仕入時のインボイス(消費税が記載された領収書)の
額のみ控除するかたちで納入すること。

でもこちらも問題点があります。
主なものとして書面が多く、手続きが煩雑なことと、
免税業者の排除です。
免税業者からの納入した場合は、インボイスがなく、
すべて納入した側が消費税を払わなくてはいけなくなるからです。
(参照国税庁 https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/42/motiduki/hajimeni.htm )

消費税軽減税率検討委員会では、「EUインボイス方式」
を検討しているようです。

学生のころは、

なぜインボイス方式にして
ちゃんと消費税をとらないんだ??

と疑問をもっていたわけですが、
立場が変わると‥
風景も変わってきますよね。。