お墓の登記

仏具店とは全く違ったスタンスでの
お墓のはなしをします。

地方の司法書士で、
相続手続きをしていれば、必ずといいほど
ぶち当たることでしょう。

お墓の土地は、さまざまの名義で
登記されているようです。

お寺の名義になっていればそれほど問題にはなりませんが
表題部の共有であったり、
地区の代表者(総代)の名義であったりします。

相続手続きをするには、
相続人だけでなく、
地区の名義人についても調査し、
不在の場合は、裁判所に不在者管理人を選任してもらったり
時効取得を主張したり
判決によって所有権を主張したりと
さまざまな資料、証拠が必要になってしまいます。

よって、、、放置されやすい。。

そもそも、お墓は、祭祀財産といって
民法897条で定められている通り、
単純な相続手続きによらず、
慣習に従うとされているので、
遺贈や贈与になる場合があります。

とても複雑なんですね。

なぜ相続登記が必要なのか

相続の手続きって
結構長い時間、放置できますよね?

今日は、なぜそもそも相続登記が必要なのかのはなしをします。

相続の手続きって
結構長い時間、放置できますよね?

相続登記が必要になるときは、
ひとつでも処分したい遺産がある場合です。
相続人が下記のことがしたいとなった場合、
例えば、

1.住んでいない土地建物を売りたい
前提として相続登記が必要になります。
地目が農地だった場合には農業委員会の
転用許可も必要になったりします。

2.使っていない農地を貸したい
前提として相続登記後、農業委員会に相続の届出も必要です。
その後農業委員会の許可が必要になったりします。
誰にでも貸すことができるというわけではありません。

3.農地を宅地に転用したい
相続登記も必要ですし、都道府県知事の転用許可と
その転用の登記も必要です。

4.他の相続人に継がせたい
継がせたい相続人のための遺言書があればいいのですが、
それ以外では、遺産分割協議を成立させ、
その後相続登記が必要です。
また、上記1から3をする前提として
ある一定の相続人に継がせておくことが必要な場合もあります。
(共有地のままだと権利関係が複雑になるため)

相続手続や遺産分割協議書の作成は、司法書士で可能ですが、
転用の登記などは、土地家屋調査士、
売るには不動産業者
税金の問題が絡んできたときは、
税理士に相談する必要があるかもしれません。

どちらにしても、遺産の処分には
相続手続が必要となるわけですね。

家附の継子

今日は、良く出てくる?相続のはなしのうち、
こんな相続が‥というはなしをします。

「家附の継子」
いえつきのけいし
といいます。

現在の新民法が施行される前の
日本国憲法施行したの
昭和22年当時に
旧民法の応急措置法というものがあったのですが、

1 その応急措置法施行時に被相続人(亡くなった方)が戸主

2 被相続人が入夫か養子縁組で他の家から戸主となっていた

3 妻に嫡出子か庶子(つまり被相続人の継子)がいる

このすべてがあてはまる場合は、現在の民法施行後に亡くなっても
その継子は嫡出子として同じ相続権があります。
(民法 昭和22年附則26条)

新民法の下で相続が発生したのに
継子に相続権があるとは、
なんとも不思議な制度ですね。

どうやら、当時の継子の相続権の期待権を
保護することが目的だったようです。

こういう、相続があると、
かなり戸惑うかもしれませんね。

北陸に

北陸に行ってきました。

移動時間が行きは長かったので、
「遺言執行者の実務」という日司連の本を
読んできいました。

遺言執行者とは、
遺産を相続人に代わって
名義変更をするなど
「遺言の内容を実現する」
(同書籍 116ページ 「3 遺言の執行」参照)
人のことです。

遺言執行者は、裁判所への申し立てによる審判と
(家事事件手続法209条 別表第一104)
遺言書による選任があります。
(民法1006条)

旅行中の移動は、時間があるので
集中して本が読める環境ですね。

旧民法の相続

旧民法の相続を考える中に
現在にはないのですが、
2つの親子関係がありました。

ひとつは、「嫡母庶子関係」(ちゃくぼしょしかんけい)

もうひとつは、「継親子関係」(けいしんしかんけい)
です。

嫡母庶子関係というのは字のごとく、
親子関係のうち、親は母(嫡母=正妻)のみ
子は、非嫡出子(母の血縁上の子でない)で、
家を同じくするときの関係です。
(旧民法728条)

家を同じくするというのは、1人の戸主を中心とした
同じ「戸籍」に記録されることですね。
(旧民法の家の機能としては、戸主の支配権、姓の統一など)

継親子関係とは、配偶者の子であって、
子にとっては実の親でない者とその子が
家を同じくするときの関係です。
子は、嫡出子でも非嫡出子でもよく、
親は、実親だけでなく、養親や継親でも成立します。

これらの親子関係は、相続の対象とされました。

家制度をよくあらわしている
関係といえますね。

しかしながら、現在の民法となる前の
昭和22年に
「日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律」
施行により廃止されました。
おそらく、憲法24条に反すると考えられたからだと思います。

よって現在は
嫡母庶子関係も
継親子関係も単なる
「直系姻族1親等」
です。

なので、相続権はありません。

相続登記や相続手続で必要なもの

今日は、相続登記で必要なもののはなしをします。

亡くなったかたの財産を相続人に名義変更するなどの
移転の手続きをする場合、

1.相続人はだれか
2.亡くなったかた(被相続人)の財産はどれか

を把握しなければなりません。

相続人の範囲は
・配偶者(常に相続人 民法890条)
・被相続人の子(民法887条)
・被相続人の子が亡くなっている場合、
 その子で被相続人の直系卑属(孫など 民法887条2項)
・被相続人の子がいない場合、父母(民法889条1号)
・被相続人の子がいない場合で、父母が亡くなっている場合
 被相続人の兄弟姉妹(民法 889条2号)
・被相続人の子がいない場合で、父母が亡くなっており、
 被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合は、
 その兄弟姉妹の子
 (民法 889条2項 ただし、兄弟姉妹の子までで、
  兄弟姉妹の孫は相続人とならない)

具体的に相続人の確認方法として

1.被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
 被相続人の実子、養子を確認するため。

2.配偶者の出生から死亡までのすべて戸籍謄本
 離婚した場合、離婚後に推定嫡出子がいる場合があるため
 婚姻前は、準正子がいる可能性もあるため。

3.生きている相続人(子、孫、父母、兄弟姉妹、兄弟姉妹の子など)
  の戸籍抄本
 相続人が生きていることを確認するため。

4.なくなっている子の場合、出生から死亡までの戸籍謄本
 なくなっている子の子であり、被相続人の直系卑属の孫を
 すべて確認するため。

5.なくなっている父母の戸籍謄本
 被相続人に子や孫がいない場合、父母がなくなっている場合は
 兄弟姉妹の全員を確認するため。

6.なくなっている兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍謄本
 被相続人に子や孫がいない場合で、父母が死亡し、
 兄弟姉妹がなくなっている場合、兄弟姉妹の子全員を確認するため。

また、財産の把握の方法は、不動産であれば、
市区町村役場で発行する「名寄帳」(地方税法387条)や
固定資産評価証明書(同法382条の3)など。

通帳などの場合は、預金の「残高証明書」です。

これらがわかってから、ようやく遺言書の執行や
遺産分割協議となるわけなんです。

相続って準備からたいへんですね。。

相続が「争族」?

相続が争う家族と書いて、「争族」というはなしをします。

そんなはなしを金融機関のかたからおしえてもらいました。
実際相続の場所は
円満だったり、円満のふりであったり
不満をぶちまけたり、さまざまです。

そういうのは、本当にこわいですよね。
やはり多いのは兄弟姉妹の争いですね。

ほかには、
残された配偶者と子供ひとり対他の子供。。

でも、キモチはわかりますよ。
お金にできないキモチと、お金の争いであったり
実際のオカネだけの争いになったり。

「遺留分」なんて言葉も、ネットやメディアのおかげで?
誰もが知るところになりましたしね。

ワタクシがアドバイスするというか、していることは、
地域差もあるかもですけど、

1.不動産は処分することが難しくなるので、共有にしないほうがいい。
2.不動産はそれほど価値がないかもしれないので、オカネに換算しないほうがいい。
(特に地方の山林や農地は、その傾向が強く、むしろ債務として考えたほうがいい場面もあります。)
3.口座などの名義は、取引の円滑化のためにとりあえず、信頼できるひとりの名義に
変えたほうがいい。
4.以上のことを確実にするため、遺産分割協議書を作ったほうがいい。

こんなところです。

あと、自分の跡継ぎたち(相続人)に不安を感じたときは、
一応信頼できる跡継ぎに相談の上、
「遺言書」を作りましょう★

相続対策

相続対策という言葉をよく聞きます。

相続対策のその方法や目的はさまざまですが、
亡くなる前に自身の財産を
誰に継いでもらうかを決めて
それを円滑にするための対策も
そのひとつです。

例えば、
・世話になった子供に一定の遺産をわたす。
 (遺産分割方法の指定)
・世話になった恩人に一定の遺産をあげる。
 (遺贈)
・子どもたちの相続の割合を決めておく。
 (相続分の指定)
・今経営している会社を誰かに経営権を円滑に渡したい。
 (経営権の指定)
・子供がいないので、亡くなったあとは、しっかりした誰かに遺産を管理してもらう。

・慈善団体に寄付する。

など

これらは、「公正証書」とか自筆の「遺言書」や、「信託契約」によって
実現できます。

この方法による場合は、
後日の相続人同士のトラブルを防ぐことや
相続を受けた方の円滑な手続きに貢献したり
なによりも、死んだあとのことを意思表示しておく
という意味合いがあります。

また、ほかにも相続対策という言葉ですることもあります。
例えば、死後の税金対策、
税金にせず、どうやって相続人に多く渡すかという側面です。
この場合は、税理士先生などの専門家のアドバイスも必要であるかもしれませんが、
計算が複雑であったりして、対策したことが実は損をしているということも
多いようです。

難しいところは、生きている間に遺言や対策をするのですが、
生きている間に事情がかわるということです。
遺言は、すぐに撤回や変更ができるのですが、
税金の対策などは、後戻りできなくなったりすることがあります。

そのあたり、慎重に進めないといけないですよね。

遺言書の様式 メモ

司法書士試験用のメモですが
参考になるので載せておきます。
遺言の種類と、民法何条か、筆者は誰か、検認が必要かを記載しました。

・遺言の方式一覧

種類 条文 証人・立会人 筆者 署名捺印 その他要件
自筆証書遺言 968 不要 本人 本人 検認必要(1004-1項)
公正証書遺言 969 証人2人以上立会い 公証人 本人・証人・公証人 検認不要(1004-2項)
秘密証書遺言 970 公証人1人及び証人2以上の前に封書の提出 基本は本人 本人と、封書に本人、証人及び公証人 検認必要(1004-1項)
成年被後見人遺言 973 医師2人以上立会い 本人 本人と立ち会った医師(事理を弁識する能力があったことを付記)、秘密証書のときは封書に本人、証人、立ち会った医師及び公証人 検認必要(1004-1項)
死亡危急遺言 976 証人3人以上立会い 証人の一人が口授を筆記、遺言者と証人に読み聞かせ又は閲覧、各証人が承認が必要 各証人 遺言から20日以内に家裁の確認が効力要件。(976-4項)口がきけない場合は通訳人通訳により申述してしなければならない。耳が聞こえないものである場合は通訳人通訳によって、読み聞かせに代えることができる。検認必要(1004)
在船者遺言 978 船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会い 本人 本人・筆記者・立会人及び証人 検認のみ必要(1004-1項)
船舶遭難者遺言 979 証人2人以上の立会い 証人の一人が趣旨を筆記 各証人 証人または利害関係人から遅滞なく家裁への確認が効力要件。口がきけない場合は通訳人通訳によりしなければならない。検認必要(1004)
伝染病隔離者遺言 977 警察官1人及び証人1人以上の立会い 本人 本人・筆記者・立会人及び証人 検認のみ必要(1004-1項)

・証人、立会人の欠格事由

未成年者

推定相続人、受遺者、及びにこれらの配偶者及び直系血族

公証人の配偶者、四親等内親族、書記及び使用人

お墓の相続

今日は、お墓の相続のはなしをします。

通常、相続人同士で遺産分割協議をする場合に、
土地や建物、預貯金などの分配について
考えますが、お墓などはどうなんでしょう。

お墓は、実は通常の相続財産とはならず、
亡くなった方の指定したひとや
慣習などで「祖先の祭祀を主宰すべき者」に
委ねられることになります。
(民法897条)

「祖先の祭祀を主宰すべき者」
とは家や地域の慣習によって決められた
祭祀財産を承継するひとのことをいうみたいです。

お墓は相続財産の対象とは
ならないということですね。

でも、ほとんどの場合
「祖先の祭祀を主宰すべき者」は
相続人のうちのひとりであるため、
それが誰なのかをはっきりさせるために
遺産分割協議書に明記したりもします。

意外にそういうことも重要なのかもしれませんね。