登記情報で代表者の住所が非表示に

現在,一般財団法人民事法務協会で提供されている,登記情報(インターネット上の謄本の情報)で,会社,法人登記簿の自然人の住所情報が原則記載されなくなるようです。
(電気通信回線による登記情報の提供に関する法律 第2条第1項第2号,意見募集中の電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則第1条第2-2号)

会社の代表取締役等のプライバシーに配慮したものと思われますが,登記情報で足りない情報は,謄本の取得が必要になります。

本年9月1日に施行予定です。

兄弟相続の遺言

兄弟姉妹が相続人の場合,遺言を作っておいたほうが無難です。

今日は,兄弟相続の話をします。

故人の財産を受ける相続人の順番は,次のようになっています。
配偶者:常に相続人
「子・孫」→子孫がいない場合は「親」→親がいない場合は「兄弟姉妹」(または,「おい」や「めい」)」
(民法第900条各号)

兄弟相続やおいめいの相続の場合,関係者が増加することが多く,故人に関係の深い相続人に円滑に財産が引き渡せるとのは限りません。特に同居していた配偶者や兄弟姉妹は,手続きできなかったり,生活費を出せなくなったりするおそれもあります。

しかしながら,遺言書を作成しておけば,死亡後すぐに手続きが可能です。
(民法第975条第1項)
故人の財産を円滑に受け渡すために,遺言書の作成をおすすめします。

立木の登記と明認方法

問い合わせを時々いただきます。

今日は,立木の登記と明認方法についての話です。

土地、建物の所有者は登記されますが、不動産や自動車,船以外の財産は,登記や登録されないのが一般的です。

ところが動産の中でも樹木は登記可能(立木登記)です。樹木も昔から,土地以外の物と別の財産として取引されることが多いからです。

また,立木登記以外にも木の所有者を第三者に知らしめる方法があります。この方法は、木に名前を表示しておく方法で行います。これを明認方法と言います。

明認方法は,法律上の具体的な規定はないものの,慣習や判例によって,第三者への権利主張(対抗力)が認められているのです。

このように,樹木の権利の保全には、立木登記と明認方法の二つの方法が使えます。

定額小為替手数料の値上げ

戸籍謄本や住民票,固定資産評価証明書を取得するのに,費用が多くなり痛手です。

郵便局で発行される定額小為替の手数料が100円から200円になりました。
ゆうちょ銀行:各種既存サービスの料金新設・改定
750円の定額小為替の場合,950円が必要となります。司法書士にとってインパクトが大きそうです。

複数の戸籍謄本を取得するとき,そのかたの過去の戸籍謄本の数が分かればいいのですが,調査で出生から現在までの戸籍謄本が必要となり,3通くらいから多いかたで7通以上必要なかたもいます。

戸籍謄本が増える理由は,婚姻でいわゆる「入籍」(入籍というより戸籍の創出のほうが正しいですが)のほか,旧民法(旧と言っても昭和21年以前の民法)の「分家」や「家督相続」,過去に法律による戸籍の改製により,戸籍謄本が更新される場合があるのですが,その通数によっても戸籍謄本の数が増えるというのが原因です。

何通かわからないので,弊所の場合,定額小為替750円x大体の戸籍謄本のおおよその通数分+1通分送付しています。通数が増えれば増えるほど為替手数料がかかるということになります。

1,500円という定額小為替が存在しないので,戸籍の通数が多くても,まとめて払えないのがさらに不便です。いつかは電子申請による電子決済とかにならなものでしょうかね。

生前贈与への意識調査

調査の全体的な信頼性については,やや疑問はあるものの,「生前贈与(暦年贈与)の改正に関する親の意識調査」によると,子への生前贈与の予定がない親は80%だそうです。(篠田修税理士事務所(東京都世田谷区)調査)
(出典:【2021年|「生前贈与」改正に関する親の意識調査】 生前贈与が使えなくなる可能性があるにも関わらず、80%の親が「生前贈与」の予定なし 「自分の老後資金の方が心配」の声多数 PRTIMES)

生前贈与は,税制面から相続税と比較して税率が高いため,難色を示す方が多い一方,うまく利用すれば,いろいろな相続対策のひとつの方法として利用することもできます。

今後,生前贈与と相続税の一体化の検討もされているようですので,注目したいところです。

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。本年もよろしくおねがいします。

本年は,民法関連,不動産登記関連,商業登記関連で改正が目白押しです。

気になっているところでは,
・成年年齢の引下げの民法改正施行
・実質支配者リストの商業登記所での証明書発行
・株式会社の定款認証手数料変更

です。また,追って当ブログで説明したいと考えております。

Web開示による計算書類等の提供制度

恒久的な改定ではないようです。

今日は,貸借対照表と損益計算書がWebでの開示により,株主に提供されたとみなされるよう,時限的にできるようになったことについて,話をします。

先日の会社法施行規則と会社計算規則の一部改正で,Webで開示して提供できるもののうち,定時株主総会の前に提供されるべき,事業報告と計算書類(貸借対照表と損益計算書)と事業報告書の一部が対象になりました。
(法務省:「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」)

今までは,貸借対照表と損益計算書が対象ではなかったのですが,(法務省:株主総会資料のウェブ開示によるみなし提供制度について)これらが対象となったわけです。

ただし,定款の定めが必要なことと,令和5年2月28日までに招集の手続が開始される定時株主総会に限り可能になります。

令和4年度税制改正大綱の中で相続登記の免税措置の変更

今日は,令和4年度税制改正大綱のうち,相続登記の免税措置について書きます。

同税制改正大綱で,相続登記に関する部分をみると,


 相続に係る所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について,
 ① 適用対象となる土地の範囲に,市街化区域内に所在する土地を加える
 ② 適用対象となる土地の価額の上限を 100 万円(現行:10 万円)に引き上げる
 これらの措置を講じた上で,その適用期限を3年延長する。

とのことです。
(参考:「令和4年度税制改正大綱」令和3年12月10日・自 由 民 主 党・公 明 党

インパクトが多少あるかもしれません。

Fedora34→35へアップデート

当所のサーバーのアップデートを実施しました。

コマンド
dnf install dnf-plugin-system-upgrade
dnf system-upgrade download –releasever=35
dnf system-upgrade reboot

確認後
uname -a

Fedoraをサーバーにする場合,約6か月に1度程度,大型アップデートが必要になります。
アップデートは,特に問題はありませんでした。

家事調停のオンライン化

家事調停のオンライン試験が公開されたようです。
朝日新聞:離婚や相続のトラブル解決の「家事調停」、ウェブ会議でオンライン化
NHK:「家事調停」で試験的にウェブ会議導入 利便性向上などに期待

東京家庭裁判所,大阪家庭裁判所 ,名古屋家庭裁判所,福岡家庭裁判所 の4家庭裁判所で今月中旬からオンラインで家事調停ができるようになるようです。

家事調停事件の場合,管轄の合意が可能なので(家事事件手続法245条),住所が管轄外であっても,双方で上記4家庭裁判所に管轄の合意できれば,オンラインで家事調停できるようになります。

離婚の調停等は,DV被害者が調停に出席しなければならない場合も多いため,オンラインで調停ができるようになれば,かなり意義があることだと思います。