個人間売買の契約不適合責任(担保責任)

フリマアプリやオークションサイトでも,担保責任を追求されるので注意が必要です。

近年,フリマアプリ等の使用による個人間取引の増加で,トラブルが増加しているようです。
(参照:国民生活センター「相談急増!フリマサービスでのトラブルにご注意-個人同士の取引であることを十分理解しましょう-」)

取引利用者へのアドバイスとして,国民生活センターでは,「フリマサービスは個人同士の取引であり、トラブル解決は当事者間で図ることが求められている点を理解して利用しましょう」としています。

これは,個人間でも,商品に対する担保責任があると考えられ,(買主の追完請求権 民法562条等),例えば,フリマアプリで購入した不良品を転売して,トラブルになるおそれもあります。

また,自身で買ったものが不良品と気がついても,すり替えたのではないかと反論される場合も存在します。
フリマアプリは,トラブルが多いという認識が必要なようです。

登録免許税の免税措置,軽減措置

4月から,登記に必要な登録免許税について,若干の変更がありました。
(参照:法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について ,国税庁 土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

主なものとしては,
1.相続による保存・移転登記の登録免許税の免税措置に関する評価額と範囲が拡大した
土地の評価額が10万円までから100万円までとなり,土地指定要件も撤廃されました。

2.住宅用家屋の所有権移転登記の軽減措置で,築年数要件が撤廃された

税金面は,難しい面もありますが,今後も注目していきたいところです。

登記情報提供サービスの土日運用

土日も登記情報の確認や申請書を作る等ができそうです。

登記情報提供サービスが10月から土日も運用されることになったようです。
(出典:登記情報提供サービスの利用時間の拡大について

土日も謄本の内容が確認できるので,便利になります。登記申請自体は,土日対応していなので,申請は進められませんが,相談内容の確認等は早く進められそうです。

印紙の必要な書類とそうでない書類

色々間違えやすいです。印紙税には気をつけましょう。

コンビニで印紙の申告漏れのニュースがありました。
(朝日新聞:ファミマ、文書60万通に印紙貼らず 1.3億円納付漏れを国税指摘

継続取引を示す契約書類にも印紙が必要ですが,その後に記載された金額の入った合意文書や金銭のやり取りを記載した表(通帳)は,印紙が必要なる場合が多いので,注意が必要です。

登記情報で代表者の住所が非表示に

現在,一般財団法人民事法務協会で提供されている,登記情報(インターネット上の謄本の情報)で,会社,法人登記簿の自然人の住所情報が原則記載されなくなるようです。
(電気通信回線による登記情報の提供に関する法律 第2条第1項第2号,意見募集中の電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則第1条第2-2号)

会社の代表取締役等のプライバシーに配慮したものと思われますが,登記情報で足りない情報は,謄本の取得が必要になります。

本年9月1日に施行予定です。

兄弟相続の遺言

兄弟姉妹が相続人の場合,遺言を作っておいたほうが無難です。

今日は,兄弟相続の話をします。

故人の財産を受ける相続人の順番は,次のようになっています。
配偶者:常に相続人
「子・孫」→子孫がいない場合は「親」→親がいない場合は「兄弟姉妹」(または,「おい」や「めい」)」
(民法第900条各号)

兄弟相続やおいめいの相続の場合,関係者が増加することが多く,故人に関係の深い相続人に円滑に財産が引き渡せるとのは限りません。特に同居していた配偶者や兄弟姉妹は,手続きできなかったり,生活費を出せなくなったりするおそれもあります。

しかしながら,遺言書を作成しておけば,死亡後すぐに手続きが可能です。
(民法第975条第1項)
故人の財産を円滑に受け渡すために,遺言書の作成をおすすめします。

立木の登記と明認方法

問い合わせを時々いただきます。

今日は,立木の登記と明認方法についての話です。

土地、建物の所有者は登記されますが、不動産や自動車,船以外の財産は,登記や登録されないのが一般的です。

ところが動産の中でも樹木は登記可能(立木登記)です。樹木も昔から,土地以外の物と別の財産として取引されることが多いからです。

また,立木登記以外にも木の所有者を第三者に知らしめる方法があります。この方法は、木に名前を表示しておく方法で行います。これを明認方法と言います。

明認方法は,法律上の具体的な規定はないものの,慣習や判例によって,第三者への権利主張(対抗力)が認められているのです。

このように,樹木の権利の保全には、立木登記と明認方法の二つの方法が使えます。

定額小為替手数料の値上げ

戸籍謄本や住民票,固定資産評価証明書を取得するのに,費用が多くなり痛手です。

郵便局で発行される定額小為替の手数料が100円から200円になりました。
ゆうちょ銀行:各種既存サービスの料金新設・改定
750円の定額小為替の場合,950円が必要となります。司法書士にとってインパクトが大きそうです。

複数の戸籍謄本を取得するとき,そのかたの過去の戸籍謄本の数が分かればいいのですが,調査で出生から現在までの戸籍謄本が必要となり,3通くらいから多いかたで7通以上必要なかたもいます。

戸籍謄本が増える理由は,婚姻でいわゆる「入籍」(入籍というより戸籍の創出のほうが正しいですが)のほか,旧民法(旧と言っても昭和21年以前の民法)の「分家」や「家督相続」,過去に法律による戸籍の改製により,戸籍謄本が更新される場合があるのですが,その通数によっても戸籍謄本の数が増えるというのが原因です。

何通かわからないので,弊所の場合,定額小為替750円x大体の戸籍謄本のおおよその通数分+1通分送付しています。通数が増えれば増えるほど為替手数料がかかるということになります。

1,500円という定額小為替が存在しないので,戸籍の通数が多くても,まとめて払えないのがさらに不便です。いつかは電子申請による電子決済とかにならなものでしょうかね。

生前贈与への意識調査

調査の全体的な信頼性については,やや疑問はあるものの,「生前贈与(暦年贈与)の改正に関する親の意識調査」によると,子への生前贈与の予定がない親は80%だそうです。(篠田修税理士事務所(東京都世田谷区)調査)
(出典:【2021年|「生前贈与」改正に関する親の意識調査】 生前贈与が使えなくなる可能性があるにも関わらず、80%の親が「生前贈与」の予定なし 「自分の老後資金の方が心配」の声多数 PRTIMES)

生前贈与は,税制面から相続税と比較して税率が高いため,難色を示す方が多い一方,うまく利用すれば,いろいろな相続対策のひとつの方法として利用することもできます。

今後,生前贈与と相続税の一体化の検討もされているようですので,注目したいところです。