印鑑の押印がどんどん不要になっていく

脱ハンコの流れが加速していきます。

今日は、2つの手続きについて、押印義務がなくなったはなしをします。

最近出された、「不動産登記規則等の一部を改正する省令」により、不動産登記規則が改正されます。(令和3年4月1日施行 官報令和3年3月29日参照

同省令によると、筆界特定の書面申請と、法定相続情報一覧図の押印義務がなくなるようです。(新・不動産登記規則241条、同247条)

法定相続情報一覧図の押印がそのまま法務局に登録されるため、キレイに押印しなければならず、すごく気を遣ったのですが、もうその必要もなくなるかもしれませんね。
(追記 司法書士法施行規則28条により、作成書類には職印の押印義務があるので、引き続き必要なようです)

養育費請求は、子の権利に

離婚した夫婦間の子の養育費について、子の権利として明確化する動きがあるようです。

今日は、養育費が子の権利である話をします。

従来養育費は、子の出費を主体的にしていない親からの、監護費の請求と考えられております。(民法766条)

ですが、養育費の支払いは、離婚親たちの全体の24%程度しか支払われていないとの調査もあります。
(出典: 厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告 17 養育費の状況

養育費は、扶養義務として、子の権利でもあります。(扶養義務の履行、民法877条)

今後その権利を明確化し、離婚時にその内容盛り込むことにするよう、検討されるようです。
(出典:朝日新聞WEB 養育費請求は「子の権利」 民法明記を法制審検討へ

子の貧困の防止に、一助になればと思います。

簡易裁判所の民事トラブルの解決手続き

全国に簡易裁判所は、438箇所あるらしいです。(出典:簡易裁判所で民事トラブル解決ー4つの手続ー

今日は、裁判所においても広報されている、簡易裁判所での民事トラブル解決手続きについて書きます。

民事トラブルとは、主に貸金や代金支払請求、敷金の返還請求、建物の明渡の請求などです。これらのトラブルを裁判や裁判外の方法で相手と交渉し、解決を図る際に、通常裁判所の手続きを利用するわけですが、その請求金額によって、簡易裁判所を利用します。

上記の簡易裁判所のホームページによると、以下の方法が説明されています。

1.通常訴訟(簡易裁判所)
2.少額訴訟
3.民事調停
4.支払督促

上記それぞれ、認定司法書士であれば、代理手続き、書類の提出のみでしたら、すべての司法書士が受任可能です。(司法書士法3条2項、1項4号)

どの手続が適しているのか、または裁判外の交渉が適切なのかは、司法書士、弁護士にご相談いただければと思います。

急に良く知らない親族の財産を相続したとき

いきなり、親交のない親族の財産を相続して、遺産分割協議を求められたら、どうしますか?

今日は、親交がなかったり、良く知らない親族の財産の遺産分割協議を求められた場合について、話をします。

親交のない親族の相続とは、以下のパターンが例としてあります。
1.父母の兄弟(特に片方の親が違ういわゆる半血兄弟等)の兄弟姉妹の相続の代襲相続人として相続
2.父母の再婚前後の子どおし(いわゆる半血兄弟)の相続

これらの場合で、亡くなった方が遺言書を書かなかった場合、相続人として親交のない親族(おい、めい等)も遺産分割協議に関与することになります。

そこで困るのが、対応です。慎重に対応しなければならない理由があります。
1.遺産をすべて把握できているか
 例えば、遺産分割協議が必要で、連絡してきている親族が、すべての財産を開示してきているのか、また調べきれているのか否か
2.負の遺産があるのか否か
 たとえ遺産分割協議しても、負の遺産(借金等)は、特定の相続人が相続させるといったことは簡単はできません。一般的に債権者の承諾が必要です。

そういったときには、あまり関わりたくないということで、相続放棄をされるかたも多いです。

親交がなかった親族と遺産分割協議をする場合は、慎重に検討したほうがいいと思われます。

契印と割印

誤解が多いのですが、複数ページの書類の押印と同じ印影を各ページの書面と書面の間に押印するものが「契印」です。

書類について、別の書類に押印して、控えを保存しておくものが「割印」です。

しかしながら、わかりやすさから、契印を割印ということが多いのはしかたのないことです。

オーナー商法は原則禁止へ

オーナー商法の原則禁止とした、預託法の改正が閣議決定されたようです。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6386723 出典:朝日新聞デジタル)

オーナー商法は、特定の商品を購入しオーナーとなり、その商品を購入先の通してレンタルしたり、斡旋した会社が利用することにより、配当を得るというビジネスモデルとなります。対象の商品の金額が高いため、被害も大きいということが特徴であり、近年では安愚楽牧場やジャパンライフ等で被害が出ていたのが記憶に新しいところです。

実際には、購入した製品に実態のないことが多数なため、詐欺的商法であることが多いです。

預託法改正案では、オーナー商法を原則禁止し、罰則を強化し、犯罪収益の没収を可能にするとのこと。

現在、消費者庁で把握しているオーナー商法による事業は、40社程度だそうです。
(出典:消費者庁 特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会 「資料2 販売を伴う預託取引などの現状について」)

法律の改正によって、被害の防止と被害の迅速な回復を狙っていますが、オーナー商法的な儲け話には、安易に乗らないことが1番であると思います。

民事信託の役割

信託とは、他人に財産をあずけて、その財産をある目的をもって管理や処分しててもらうことをいいます。(信託法2条1項)
成年後見制度における成年後見は、財産やを成年後見人に管理してもらうことを一つの目的としていますが、信託と成年後見と違うところは、信託は預ける人のすべての財産を対象にせず、一部の財産を対象とすることができ、目的も管理に限られず、多様な目的を設定することができます。(信託法3条各号)
また、信託のもう1つの役割としては、信託が終了した後、財産をもとの所有者以外に帰属させることができる点です。(信託法182条1項各号)この機能は、受託者が亡くなった場合の相続先、遺贈先を指定できる遺言に類似しています。
このように、成年後見や遺言より柔軟に財産の処分をすることができることが信託の強みといえるでしょう。

パートや有期雇用労働者の不合理な待遇差禁止

パートタイム・有期雇用労働法の改正により、4月から中小企業でも改正が適用され、パートタイム労働者と有期雇用労働者の正社員との待遇差が禁止されます。

今日は、労働者の待遇差と説明義務について、話をします。

正社員と非正規雇用労働者との待遇差が禁止されるわけですが、具体的に待遇差とは、厚生労働省によるガイドラインによって例示されています。
参照 同一労働同一賃金ガイドライン・厚生労働省

これによると、
・基本給
・賞与
・各種手当
・福利厚生・教育訓練
で待遇差が禁止されています。賃金に関する部分が多いです。

社会全体を見ても、性別(令和1年賃金 男性平均338万円、女性平均251万円)や正規・非正規(令和1年賃金 正社員325.4万円 正社員以外221.2万円)で給与水準に隔たりがあるわけですから、その解消が望まれます。
(厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況 「性別」、「雇用形態別」参照)

この他にも、事業主には、非正規雇用労働者に対して、正社員との待遇差について、説明義務が生じることになりました。つまり、非正規雇用労働者から求められれば、事業主は、説明する必要があります。(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第14条第2項)

会社にあっては、説明を求めることができるような環境を作っていく必要が出てきたということになるわけです。

株主リストに押印する欄がなくなった

商業登記の株主リストに押印欄がなくなりました。
以下法務局【「株主リスト」が登記の添付書面となりました】 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00095.html

これは、2月15日から商業登記規則が改正され、オンライン申請を推進するため、添付書類から代表者の押印を減らしたことによります。

原本証明も押印不要のよう(商業登記規則第49条第2項)ですが、原本証明(原本に相違ない 代表取締役 ●●)が数葉に渡る場合は、契印をどうするのでしょうか。もしかしたら、全部に原本証明の記載を求められるかもしれないですね。
(3/3追記、原本証明は、始めか終わりのページの1か所のみで良いことになったようです。)

氏名変更登記と住所変更登記の義務化

今日は、氏名変更登記と住所変更登記、いわゆる名義変更登記の義務化の話をします。

氏名変更登記と住所変更登記の義務化が検討されるようです。ニュース記事によると、名義変更登記を2年以内に登記しなかった場合、5万円以下の過料になるということが、検討されているとのことです。

これは結構インパクトが大きく、現在のところ、ほとんどの場合は、事後に取引は控えている場合ではなければ、名義変更の登記をしていないことがほとんどです。

今度、もしこの法律案が適用された場合には、売買や相続登記をした後に、名義変更をしていなかったのが、公となり、過料制裁の通知が裁判所から届くといったことが多発すると考えられます。

また、2年以内という内容は、実感として、かなり短く感じますし、過料制裁を防ぐために名義変更の登記が、全国で大量に申請されることになるかもしれません。