難しい名義変更に当たるとき

難しい不動産の名義変更の話をします。

相続登記の仕事をしていて、時々、難しい登記に当たることがあります。
そのいくつか例について、お話ししたいと思います。

まず最初に難しいと思うのは、相続人が何人もいるときです。
何人もいるということが発生する状態になる1番の原因は名義変更を放置です。
放置によって、相続が二重にも三重にも発生してしまい、より、複雑にしてしまうのです。

2つ目に難しいと思うのは、兄弟による相続です。
お子さんがいない場合の兄弟による相続は、必然的に相続人を増やしてしまうからです。

3つ目に難しいと思うのが、相続人の1人が海外に住んでいらっしゃる場合です。
いわゆる渉外登記と言われるのですが、集める書類や手続きが複雑になるからです。

以上のような、ことがあるようでしたら、早めの対策をお勧めしています。

対策をとっておかないと、手続きに非常に時間がかかったり、最悪の場合、名義変更ができないことにあります。

最悪を避けるためには、ご自身の家族のことをもう一度振り返っていることも必要かもしれませんね。

相続のはなし 新制度「配偶者居住権」

強力な権利になるか、それとも、使われない権利になるのか…

相続法(民法の相続部分)の改正で「配偶者居住権」が新設されるはなしをします。

「配偶者居住権」とは、建物を単独で持っているかたが、お亡くなりになったとき、配偶者がに居住していれば、他の人が相続後も期間を定めて、その建物を無償で使用収益することができます。
居住していればいいだけではなく、相続人間の遺産分割協議か、あらかじめ遺言書によって遺贈を受ける必要があり、さらに「配偶者居住権」は、登記が必須です。

配偶者の住む場所を守るという点では、強い権利となりますが、問題点としては、配偶者居住権が、建物の流動性が著しく下がる可能性があること。また、あくまで法律婚の配偶者のみ認められ、事実婚の夫婦には適用されないことなどがあります。

遺産分割や遺言によって、配偶者に建物を相続させるのに比べて、どこまで違うのかが疑問なところ。
税金面でも「配偶者居住権」は、どう評価されていくのでしょうか。

どうやら遺産分割協議が本気を出してきた

昨日、最高裁判所で、可分債権のうち、預貯金に関しては、
遺産分割協議の対象とする判例がでました。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/354/086354_hanrei.pdf
(遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 最判平28.12.19)

従来可分債権(分割可能な債権)は、相続のときに
当然に相続人へ帰属するため、遺産分割協議の対象となっていませんでした。
(最判平16.4.20)

判例をみると、
1.預貯金は、主要な決済手段
2.預貯金は現金とあまり変わりない。
3.ゆうちょ銀行等の定期貯金は、解約は分割してすることを想定していない

などの理由で、遺産分割協議の対象としたようです。

他の可分債権も遺産分割協議の対象とするべきという意見もあるようですが。

相続ですね、わかります

だって、複雑そうなんですものね。

不動産の相続手続をはじめる平均時間は‥

今度、計算しておきます。

でも、相続手続は、やたらに放置プレイが多く、
時間がたったものが多いですよね。

その原因は、ほとんどが遺産分割協議の未了ですかね。

相続人の1人でもうんと言わなければ、(協議に承認しなければ)
話が全く進まないですものね。

その対策ですか?
遺言を書いておくとかいろいろと言われていますけど、
どうなんでしょうかね、実際のところ。

遺産相続弁護士

というテレビドラマがスタートするらしいですね。
遺産相続弁護士・柿崎真一っていうみたいですけど。
http://www.ytv.co.jp/kakizaki/

個人主義ならぬ、故人主義?
コメディーですかね。
第1話は、6時間前に結婚した妻の相続とか。

あーそういうのあるある(笑)

そういえば、ちょっと前に「カバチタレ!」とか「びったれ」とかいう
行政書士や司法書士を題材したドラマ(漫画の原作)がありましたけど、
「夜逃げ屋本舗」もそうですかね?

「あーそれ弁護士法74条違反!!」

とか思いながら見ていると
結構つまらなくなってしまいますよねぇ。

しかも、それを主張するほうは、(わたしも含めて)必死なこと!

妨害工作?

よく、遺言書があれば大丈夫といいます。
遺言書どおり相続手続きができるからです。

法律上きちんとした遺言書があるという前提で、
遺言書があれば、そのまま遺言書通り相続の登記ができるのですが、
その登記の前に遺言書に反する法定相続の登記をするという
荒行?に出るかたもいるようです。
(ほぼ弁護士等の指示を受けてのことのようですが)

ほとんど、相続手続きの妨害といっていいでしょう。

それはそれで言い分があったりもするわけですが、
(遺言書が無効とか、当事者利益の保護とか)
いくら遺言書があっても相続を争っている場合は
早く登記するのに越したことはないです。

登記は、早さが勝敗を決する場合もあります。
そのための登記ですからね。。

相続未登記の土地

毎日新聞にこのような記事がでました。
「所有者不明化 増える土地の相続未登記」
http://mainichi.jp/articles/20160609/org/00m/010/064000c

地方は特に
土地との関与が薄れているし、
土地がなりわいになりづらくなっているため
使用していたり、早く手放したいということでもない限り
未登記のまま、そのまま放置することになってしまいそうです。

他の相続人の財産権の保護という観点と
相反することもあるため、
なかなか解決の難しい問題ですね。

財産の独り占め

相続のときに、相続人のひとりが、
亡くなったかたの生前に、
財産を独り占めしていたときは
どうしますか?

相続人のひとりが亡くなったかたの財産を生前に
独り占めした場合、
厳密には、勝手に使い込んだ場合は、
亡くなったかたのものを理由も、
承諾もなく使ったということになるので
他の相続人には、不当利得返還請求権が成り立ちます。

ここで注意することは、相続のときに相続財産を計算するにあたって
使い込んだ財産を相続財産として組み入れる効果はあるのですが、
遺産分割の協議をする上の分配方法の決定ではないということです。

そうはいっても、ここがクリアされない限り、
まともに遺産分割協議なんて、できそうもないですね。。

使った相続人とほかの相続人主張の例をまとめるとは

・返還を要求する相続人
 父(母)の断りもなく勝手にお金を引き出した

・使った相続人
 父(母)と同行した、承諾を得た
 父(母)に依頼された、必要経費だった
 父(母)からもらった(贈与)

・返還を要求する相続人の反論
 父(母)が管理していなかった
 生活状況から不当に多く引き出した、経費でない
 出金や振込依頼書が父(母)の筆跡でない
 父(母)に財産管理能力がない(認知症が進んでいた)

難しいのは、使い込む相続人は同居の親族であるため
財産の管理がどうであったかなどの実態がつかみづらいということ。

これらをお互いに立証していくためには、
たくさんの証拠が必要になっていきます。